「10月からふるさと納税が変わるらしいけど、結局何がどう変わるの?」——そんな声、最近ちらほら聞くんですよね。ぼくも最初は「返礼品が減るの?」って一瞬あせりました。
先に一番知りたいところだけズバッとお答えしてから、なぜそう言えるのかを総務省の一次資料でひとつずつ確認していきますね。全3本シリーズの、全体像をつかむための”ハブ”記事です。
1. 結論:今すぐ返礼品が減ったり質が落ちたりするわけではありません

先に結論からお伝えします。2026年10月にふるさと納税の制度が改正されますが、今すぐ返礼品が減ったり、明らかに質が落ちたりするわけではありません。返礼品の値段の天井にあたる「3割ルール」(寄附額の3割以下)自体は、今回変更されていないからです。
ただし、それを支える送料・広報・決済などの自治体の運営コストの枠(募集費用)は、これから段階的に圧縮されていきます。ここに「じわじわ渋くなる」圧力がかかる可能性はゼロではありません。実際、返礼品を出品する事業者側の業界団体からは「返礼品の魅力が落ちるのでは」という懸念の声も出ています(出典は4章で紹介します)。
💡 ここがポイント!
これは業界団体側の懸念であり、総務省など公的機関が「返礼品が減る・質が下がる」と明言しているわけではありません。ここから先の章で、その根拠を1つずつ確認していきます。
2. なぜそう言えるのか:2026年10月に変わる3つのポイント

先ほどの結論の根拠を確認していきましょう。2026年10月1日施行の改正は、大きく3つの系統に分かれます。
- ①寄附金活用可能額基準(通称「6割ルール」)の新設
- ②地場産品基準の明確化
- ③指定取消制度の見直し
詳しい内容は総務省の資料にまとまっています。
①「6割ルール」=寄附金活用可能額基準
自治体の「募集費用」の上限の考え方が変わります。詳しくは次の章で。
②地場産品基準の明確化
「地元の産品」の基準が具体化されます。広報目的での実績を超えて提供しない「広報目的基準」、加工品の付加価値算出方法を定める「付加価値基準」の2本立てです。
③指定取消制度の見直し
ルール違反があった自治体への「指定取消」の運用も見直されます。
3. 「6割ルール」の仕組みと段階導入スケジュール

今回いちばん誤解されやすいのがここです。変わるのは自治体の「募集費用」の上限であって、私たちが受け取る「返礼品」の上限ではありません。返礼品自体が6割相当になる話ではないので注意してください。
💡 ここがポイント!
「6割ルール」は自治体側の”使い道”のルール。返礼品の上限(3割以下)は今回変更されていません。
現行は募集費用(返礼品調達費+送付・広報・決済費+事務費等)が「寄附金額の5割以下」ならOKでした。2026年10月からは「寄附金活用可能額(自治体が自由に使える額)が寄附額の60%以上」という基準へ、段階的に転換していきます。
| 系統 | 現行 | 2026年10月以降 |
|---|---|---|
| ①募集費用の上限 | 寄附金額の5割以下 | 活用可能額が寄附額の60%以上(段階導入) |
| ②地場産品基準 | 運用に曖昧さあり | 広報目的基準/付加価値基準を明確化 |
| ③指定取消制度 | 現行の運用基準 | 運用を見直し |
「60%以上」といっても、2026年10月にいきなり全自治体が60%になるわけではありません。指定を受けた年度ごとに、活用可能額の基準(=逆算すると募集費用側の上限)が段階的に圧縮されていきます。
| 指定年度 | 寄附金活用可能額の基準 | 募集費用側の上限(逆算) |
|---|---|---|
| R8指定 | 52.5%以上 | 47.5%以下 |
| R9指定 | 55%以上 | 45%以下 |
| R10指定 | 57.5%以上 | 42.5%以下 |
| R11指定以降 | 60%以上 | 40%以下 |
施行日は2026年10月1日で共通ですが、自治体に準備期間を持たせながら少しずつ厳しくなっていくイメージです。詳しい基準値は総務省の資料で確認できます。
また2026年2月には、将来的に募集費用の上限を4割未満(2029年目途)とする方向性を含む地方税法改正案が閣議決定されたとも報じられています(事業構想オンライン)。この「2029年目途」とR8〜R11の年度表記が厳密にどう対応するかは※要確認のため、ここでは「募集費用の枠は今後もさらに圧縮されていく方向」という大枠だけ押さえておいてください。
つまり「自治体の取り分を増やす(=募集費用を圧縮させる)」ための改正、というのが6割ルールの正体です。総務省もこれを中心的な改正として説明しています。
4. 変わらないもの:3割ルールと、それでも安心しきれない理由

今回動くのは自治体側の「募集費用」のルールだけ。私たちが受け取る返礼品の価値は、これまでどおり「寄附額の3割以下」のまま変わりません。総務省のQ&A(令和7年6月24日付)でも、一時的であっても返礼割合が3割を超える返礼品の提供は認められないという趣旨が明記されています。
💡 ここがポイント!
返礼品の還元率(3割ルール)は今回の改正の対象外。変わるのは自治体の経費配分のほうです。
——ただ、ここだけは押さえておきたいんです。「6割」だけが独り歩きして「返礼品が6割相当に」と誤解している声もSNSで見かけますが、6割はあくまで自治体が自由に使えるお金の割合の話です。
とはいえ、これで「完全に一安心」とは言い切れない事情もあります。総務省の公式資料には「返礼品の質・量・グレードが今後下がる」という明示的な言及は見当たりません。一方で、返礼品を出品する事業者側の業界団体「一般社団法人ふるさと納税地域商社会」が2025年12月に出品事業者1,000件を対象に緊急調査を実施し、「経費上限4割」案について「返礼品の魅力(還元率)が低下して市場が大幅に縮小する可能性」「35.5%の事業者が事業継続・雇用に危機感」を表明しています(PR TIMES)。これは出品事業者側の自主調査・懸念表明であり、総務省など公的機関が同じ見解を示しているわけではない点に注意してください。
一方、ふるさとチョイス公式は、基準を満たさない返礼品は姿を消す一方で、より地場産品に根ざした新しいラインナップが登場するという前向きなトーンで説明しており、返礼品全体の質・量が下がるとは言っていません。楽観・悲観どちらかに決めつけず、「今すぐ困るわけではないが、じわじわ変化していく可能性はある」くらいの温度感で見ておくのがよさそうです。
5. 混同注意!2025年10月・2026年10月・2027年、何が違う?

似た時期に別々の改正が重なっていて、ぼくも整理するまでこんがらがっていました。切り分けておきましょう。
| 時期 | 内容 | 今回(2026年10月)の改正か |
|---|---|---|
| 2025年10月 | ポイント付与の禁止(実施済み) | いいえ(別の告示・別タイミング) |
| 2026年10月 | 6割ルール/地場産品基準の明確化/指定取消制度の見直し | はい(本記事のテーマ) |
| 2027年(令和9年)寄附分〜 | 特例控除額193万円上限の適用(※詳細は要確認) | いいえ(今回改正とは無関係) |
「ポイント付与禁止」はすでに終わった話なのに今回と混同されがち。「193万円上限」は2027年寄附分からの、まだ先の制度です。時系列で区別しておくと安心です。
6. これからどうすればいい?

「9月30日までに寄附すれば、今のうちに人気の返礼品がもらえる」——そんな駆け込みの空気、感じたことないですか? ただ、ここは慎重にお伝えしたいんです。今回の改正は自治体が「指定」を受けるための基準(10月1日〜翌9月30日のサイクルで運用)の話で、寄附した日によって適用ルールがパチッと切り替わる、という単純な制度ではありません。
ふるさとチョイスなど一部のポータルは「9月30日までにカートの中身を確認して」と呼びかけていますが、これも「旧ルールの返礼品がもらえる保証」ではなく注意喚起です。新基準に合わなくなった返礼品を自治体が10月以降のラインナップから外すケースは考えられるので、「欲しい返礼品があるなら早めにチェックしておく」くらいの温度感が実情に近いかもしれません。ただしこれも自治体・返礼品ごとに事情が違うので、断定はできません。
- これから始める方向け:記事②(初心者向け)
- すでに毎年活用している方向け:記事③(経験者向け)
7. まとめ

- 結論:3割ルール(返礼品の上限)は変わらないため、今すぐ返礼品が減ったり質が落ちたりするわけではない
- ただし自治体の運営コスト(募集費用)の枠は段階的に圧縮され、じわじわ影響が出る可能性はある(業界団体の懸念であり、総務省の公式見解ではない)
- 2026年10月1日、「6割ルール」「地場産品基準の明確化」「指定取消制度の見直し」の3系統で改正される
- 基準はR8=52.5%以上→R11指定以降=60%以上(募集費用側は47.5%以下→40%以下)と段階的に圧縮される
- 2025年10月のポイント付与禁止・2027年からの特例控除額193万円上限は、今回の改正とは別物
- 「駆け込み寄附」に全国一律の期限があるわけではない。指定基準は自治体ごとの年度サイクルの話で、欲しい返礼品があるかどうかは自治体・ポータルごとに確認を
制度の名前や数字だけ見ると身構えちゃいますけど、ひとつずつ分解すればそんなに難しい話じゃないんですよね。
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- 次回予告:記事②(初心者向け)で、これから始める方向けに具体的な手順を解説予定です。
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