第30回:マスタリングで音圧と統一感を仕上げる方法|VOCALOID中級講座[AI]
ボーカロイド制作、中級レベルにおいて「楽曲を完成させる」とは、単に歌声や伴奏を整えるだけでなく、**最終出力段階での統一感・音圧感**を獲得することです。
この第30回では、Windows PC環境・Studio One 7 と Synthesizer V Studio Pro を使用して、マスタリングの流れ、音圧の作り方、そして配信・CD化を想定した最適化までを丁寧に解説します。
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1. マスタリングとは何か?その役割と目的
マスタリング(Mastering)とは、ミックスが終了したステレオトラックを対象に、**楽曲全体の音質・音量・帯域・ステレオ感などを最終調整するプロセス**です。
目的としては以下の通りです:
- 音量(音圧)を商用レベルに近づける
- 複数の曲をアルバムとして統一感のある音質にする
- 配信・CD・アナログなど多様なフォーマットに対応させる
- リスナーがどの再生環境でも違和感なく聴ける状態にする
1-1. ボーカロイド楽曲における特有の注意点
ボーカロイド曲では、AIボイス&伴奏の違いによる**音色のばらつき**が出やすいため、マスタリング段階で下記点を抑えることが重要です:
- ボーカルと伴奏で帯域の重なりやマスキングが起きていないか
- 楽曲の「ピーク(瞬間最大音量)」と「平均音量(ラウドネス)」のバランスが取れているか
- サビとAメロで音質の体感差が大きくないか
2. Studio One 7 の“Project Page”を使ったマスタリング手順
Studio One においては「Song(ソングページ)」と「Project(プロジェクトページ)」という2つのモードがあります。マスタリングには Project Page を使うのが推奨されており、アルバムや配信用ワークフローに最適化されています。
2-1. セットアップの流れ
- Song(ミックス完了)をステレオ WAV/E-RAX 形式で書き出す(例:-6 dBFS 頭出し推奨)
- Project Page を開き、「Preparation」タブで曲をドラッグ&ドロップ
- 曲間の空白、クロスフェード、シーケンス順を設定
- 各曲トラックのメーターを確認し、ピークやLUFSを把握
- マスターストリップ(Master Bus)にエフェクトチェーンを構築
よく使われるエフェクトチェーンの順番は以下の通りです:
| 順番 | プラグイン | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | EQ(イコライザー) | 不要な低域カット、帯域補正 |
| 2 | Multiband Dynamics/マルチバンドコンプ | 帯域ごとの圧縮・音圧調整 |
| 3 | Saturator/倍音付加 | 温かみや存在感を加える |
| 4 | Limiter/リミッター | クリッピング防止、出力音量規制 |
この流れを守ることで、ミックスの良さを損なわずにマスタリングが可能です。
3. 音圧を上げるための具体的テクニック
音圧(ラウドネス)を上げるために、単にリミッターの入力を上げるだけでは「潰れた音」になりがちです。以下のポイントを意識しましょう。
3-1. ゲインステージの確保
- ミックス終了時点でマスター出力が-6 dBFS〜-3 dBFS程度の頭出しに設定
- ピーククリップがないことを確認
- ラウドネスメーター(例LUFS)で-14〜-10LUFSを目安にする(ジャンルにより変動)
3-2. マルチバンドコンプの使い方
例えば:
- 低域(20–120Hz)を圧縮し、ベース・キックの挙動を整える
- 中域(400Hz–2kHz)を軽く圧縮しボーカルと伴奏の馴染みを良くする
- 高域(5kHz以上)を微調整し、刺さりを軽減・抜けを確保
実用動画:Exploring MultiBand Dynamics in #StudioOne
3-3. リミッターの設定とクリッピング回避
- 出力を-1 dBFS程度に設定してクリッピングを防ぐ
- リミッター前に音量を上げすぎないように注意
- リミッター後の波形を確認して「潰れ過ぎていない」かチェック
4. 統一感・アルバムワークフローのポイント
複数曲をまとめた作品を発表する場合、各曲の音質・ラウドネス・ノリが揃っていないと聴き疲れを起こします。以下の準備をしておきましょう:
- 各曲に同じマスターストリップを適用する
- 参照トラック(リファレンス曲)を用意して比較する
- 曲間の音量・帯域・ステレオ幅を揃える
- リスニング環境を切り替え(モニター/ヘッドホン)して確認する
4-1. リファレンス曲の重要性
商用曲を自分の曲と同じジャンル・仕様で聴き比べることで「音圧は足りているか」「低域が濁っていないか」などを客観的に判断できます。
5. モニタリング環境・機材・接続順序の最終チェック
マスタリング段階こそ、モニター環境の整備とノイズ対策が重要です。以下は中級者が見落としがちな点です:
5-1. モニタースピーカー&ヘッドホンの選び方
- モニタースピーカー:フラット特性で定位・低域の把握が正確なもの
- ヘッドホン:密閉型+高解像度で細かい発音・帯域確認に適する
- 両方で切り替えて確認することで、出力先環境差にも対応できる
5-2. 接続ケーブル・順序・ノイズ対策
| 接続種別 | 推奨ケーブル | 注意点 |
|---|---|---|
| インターフェース → モニタースピーカー | XLR または TRS バランスケーブル | 長さを30cm以内に抑えるとノイズ低減 |
| オーディオI/F → PC | USB-C または USB-B(短め) | 電源ケーブルと干渉しないよう分離 |
| モニター/ヘッドホン切替 | デスク上に切替スイッチ | 簡単に切り替えられる位置に設置 |
- 同じ電源タップにPCとオーディオI/Fを接続するとグランドループによるノイズが発生しやすい。
- ケーブルが床上を這わないよう、まとめてクリップ等で固定する。
- モニタースピーカーの背面は壁から15〜20cm離すのが望ましい。
6. よくあるミスと改善策
| ミス | 原因 | 改善策 |
|---|---|---|
| 音圧だけ上げたが音が潰れている | リミッター過多・ピーク管理不十分 | ミックス段階で頭出しを確保 → リミッターを軽めに設定 |
| 低域がボヤけている | ベース/キックの位相ズレ or 過剰圧縮 | 低域を整理 → 位相反転やハイパスを検討 |
| 音色・音質が曲ごとにバラついている | マスターレベル・EQが統一されていない | 参照曲と比較 → 同一マスターストリップ適用 |
7. 参考動画リンク・公式サイト
より詳しい映像解説はこちら:
- The Basics of Audio Mastering in Studio One | PreSonus
- Exploring MultiBand Dynamics in #StudioOne | PreSonus
公式製品ページ:PreSonus Studio One 製品ページ
まとめ
マスタリングは、ミックスの完成に続く“最終仕上げ”とも言える重要なステップです。音圧だけを追うのではなく、**音質・帯域・統一感・再生機器対応**まで配慮することで、リスナーの印象に残る楽曲になります。
今回学んだ: – ミックスからマスタリングへの流れを明確に把握する – マルチバンド/リミッター/EQ を用いこなす – 機材・ケーブル・モニタリング環境も整える これらを習慣にすれば、制作スキルは次の段階へと進みます。
次回予告
次回(第31回)は、「配信前チェックリストと著作権の基礎知識」をテーマに、配信プラットフォーム別ラウドネス・フォーマット確認、権利表示・使用許諾なども含めて解説します。
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。