第29回:バス処理とマルチバンドコンプで音のまとまりを出す|VOCALOID中級講座[AI]
ボーカロイド楽曲を制作していると、「全体の音がバラついて聴こえる」「ボーカルだけ浮いてしまう」といった悩みを持つ人は多いでしょう。これは、トラック間の音量や帯域バランスが整っていないことが原因です。
そんなときに役立つのが「バス処理」と「マルチバンドコンプレッサー(マルチバンドコンプ)」です。この記事では、Studio One 7とSynthesizer V Studio Proを活用した具体的な音のまとめ方を、実践的に解説します。
![第29回:バス処理とマルチバンドコンプで音のまとまりを出す|VOCALOID中級講座[AI] 1 ボーカロイド ボカロ](https://zesys.net/blog/wp-content/uploads/2025/09/ChatGPT-Image-2025年10月28日-20_13_58-300x200.png)
1. バス処理とは? ― 複数トラックをまとめて制御
まずは「バス(Bus)」の役割を理解しましょう。バスとは、複数のトラックをひとつのチャンネルにまとめ、全体として処理するための通路です。ドラム、ボーカル、コーラス、ストリングスなどのトラックをそれぞれのグループバスにまとめておくことで、後から音量やエフェクトを一括調整できます。
1-1. バスの種類
| バス名 | 用途 | 具体的な例 |
|---|---|---|
| ドラムバス | ドラム全体の圧を統一 | バスコンプでキックとスネアの一体感を出す |
| ボーカルバス | メインとコーラスをまとめる | EQやリバーブで統一感を演出 |
| インストバス | 楽器群の音量管理 | ギター・シンセ・ベースなどをひとまとめに |
| マスターバス | 最終出力の調整 | マスタリング直前の音質確認に利用 |
1-2. Studio Oneでのバス作成手順
- ミキサー画面で複数のトラックを選択
- 右クリック → 「バスチャンネルにルーティング」を選択
- 新しいバスチャンネルが自動作成され、トラックがまとめられる
これで「グループごとの音量調整」が容易になります。
2. バス処理の基本 ― 音のまとまりを出すポイント
2-1. EQで不要な帯域を整理する
まずはEQを使って、各グループの不要な低域や高域をカットします。特にドラムやベースが重なる帯域(100Hz前後)は、マスキングが発生しやすいポイントです。
- ドラムバス:50Hz以下をハイパスでカット
- ボーカルバス:200Hz以下を軽く整理
- インストバス:300Hz付近を少し削ると抜けが良くなる
2-2. コンプレッサーでまとまりを出す
バスにコンプレッサーをかけると、全体のダイナミクスを滑らかに保つことができます。設定のコツは以下の通りです:
- スレッショルド:軽く触る程度(-3dB前後)
- レシオ:2:1〜3:1程度
- アタック:やや遅めに(10〜30ms)
- リリース:音楽に合わせて中程度(100〜200ms)
これにより、トラック全体の一体感が出て、音の「塊感」が生まれます。
3. マルチバンドコンプレッサーとは ― 帯域ごとの圧縮制御
通常のコンプレッサーが全帯域を一括で処理するのに対し、マルチバンドコンプレッサーは低域・中域・高域などを分けて、それぞれ独立して制御できます。Studio Oneには「Multiband Dynamics」というプラグインが搭載されており、マスターバスやボーカル処理に最適です。
3-1. 4バンド構成の基本設定
| バンド | 周波数帯域 | 用途・調整ポイント |
|---|---|---|
| Low | 20Hz〜150Hz | ベースやキックの締まりを調整 |
| Low-Mid | 150Hz〜800Hz | ボーカルのこもりを解消 |
| High-Mid | 800Hz〜4kHz | 明瞭感を保ちながら耳障りを軽減 |
| High | 4kHz〜20kHz | 高域の抜けと空気感をコントロール |
3-2. 実際の使い方(Studio One)
- マスターバスまたはグループバスに「Multiband Dynamics」を挿入
- 再生しながら各帯域のゲインリダクションを観察
- 低域:リダクションを3〜5dB程度に設定して安定感を出す
- 中域:軽く圧縮してボーカルを前に出す
- 高域:アタックを速めて耳障りを抑える
最終的に「コンプがかかっていることを感じさせない自然な圧縮」を目指しましょう。
4. 実践例 ― ボーカロイド曲ミックスでの活用
4-1. ボーカルバスに使う場合
Synthesizer V Studio Proで生成したボーカルは、音量のピークが安定していますが、ハーモニーやリバーブとのバランスを取る際にマルチバンドコンプを使用すると自然にまとまります。
- Low-Midを軽く圧縮して厚みを調整
- High-Midを抑えて刺さりを軽減
- 最終的に全体を軽くリミッティング
4-2. インスト全体をまとめる場合
ギターやシンセなどが多いトラックは、低域と中域の調整が重要です。ベースが暴れているときはLow帯を締め、サビではHigh帯を開放することでダイナミクスを活かせます。
5. Studio One公式チュートリアル動画
以下のPreSonus公式YouTubeチャンネルの動画では、バス処理とマルチバンドコンプの実践例を詳しく解説しています。
- How Bus Channels Work in Studio One(Studio One チュートリアル)
- Studio One Stock Plugin Series: Multiband Dynamics(Multiband Dynamics 実演)
これらの動画は、Studio One 6〜7ユーザーにも共通する基本概念をカバーしているため、バージョンが異なっても十分に参考になります。
6. 音作りを安定させるための周辺環境
最後に、DTM環境でのモニタリングやノイズ対策についても触れておきましょう。中級者にとって「正確に聴くこと」が最も重要です。
6-1. モニター環境の整理
- スピーカーは耳の高さで左右対称に配置
- 壁との距離を30cm以上空けて低音反射を軽減
- デスク上のケーブルは束ねてノイズ干渉を防ぐ
6-2. オーディオインターフェースとケーブルの確認
信頼性の高いオーディオインターフェースを使い、バランスケーブル(XLRまたはTRS)で接続しましょう。USBハブを介すとノイズが増えることがあるため、PC直挿しが推奨です。
まとめ
バス処理とマルチバンドコンプは、音の「まとまり」と「安定感」を生み出す重要なツールです。特にボーカロイド作品では、電子音と歌声のバランスを取る際に欠かせません。
EQで整理し、コンプレッサーで制御、そしてマルチバンドで微調整。この流れを習慣化すれば、あなたの楽曲は一気にプロフェッショナルなサウンドへと近づくでしょう。
次回予告
次回の第30回では、「マスタリングで音圧と統一感を仕上げる方法」を詳しく解説します。最終段階での音圧管理やリミッター設定、そして配信向けのラウドネス調整について学んでいきましょう。
参考リンク:
Studio One公式サイト:https://www.presonus.com/products/studio-one
Synthesizer V Studio Pro公式サイト:https://dreamtonics.com/synthesizerv/
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。
是非フォローしてください
最新の情報をお伝えします