第27回:EQとコンプレッサーを使った中級ミキシング|VOCALOID中級講座[AI]
ボーカロイド楽曲制作で「ミキシング」は最も音質に直結する作業です。 今回は、EQ(イコライザー)とコンプレッサー(圧縮器)という2つの代表的なミキシングツールを、Windows PC+Studio One 7+Synthesizer V Studio 2 Pro環境で、機材選びから接続、使い方、注意点、具体例まで丁寧に解説します。
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1. 機材選びと接続の基本
1-1. 機材の選び方と特徴
ミキシングの段階でも、オーディオインターフェースやモニタースピーカー、ヘッドホン、MIDIキーボードなどの機材が音質と作業性に影響します。以下に機材選びのポイントを示します。
| 機材 | 選び方・特徴 | ミキシング時に注目すべきポイント |
|---|---|---|
| オーディオインターフェース | ASIOドライバ対応・低ジッター・多チャンネル対応 | マスターバスまで含めた出力が可能な入出力数とモニタースイッチ機能 |
| MIDIキーボード | ベロシティ・ピッチベンド装備・アサイナブルノブ付き | Synthesizer Vのパラメータ調整やDAWのオートメーションに即対応できる操作性 |
| モニタースピーカー | フラットレスポンス・300mmウーファー以上推奨 | 定位確認・低域の影響を正確に判断できる環境を整える |
| ヘッドホン | 密閉型・高解像度・平坦特性寄り | ミックス確認用に「スピーカー+ヘッドホン」の両方でチェックする習慣をつける |
- 特にミキシング時は“ヘッドホンだけ”で判断せずスピーカーで確認することが音のバランス破綻を防ぎます。
- オーディオI/Fのモニタースイッチ(スピーカー⇔ヘッドホン)機能があると、迅速に切り替えて比較可能です。
1-2. ケーブル・接続順序・ノイズ対策
ミキシング精度を落とさないために、配線と接続順序も重要です。接触ノイズ・グラウンドループは音質低下を招きます。
| ケーブル種別 | 特徴 | 用途・注意点 |
|---|---|---|
| XLR | バランス接続・ノイズに強い | モニタースピーカー/マイク→オーディオI/F |
| TRS(バランス) | ステレオ出力対応・ノイズ軽減 | オーディオI/F出力→モニタースピーカー |
| USB-C/USB-B | デジタル伝送・ジッター影響少 | PC→オーディオI/F/MIDIキーボード接続 |
接続順序の例:
PC → オーディオインターフェース → モニタースピーカー
↓
ヘッドホン
- 録音・ミキシング前に機材を順に電源オン/オフすることで“ポップ音”や“ハムノイズ”を軽減できます。
- 混雑したデスク裏の配線は、ケーブルダクトや結束バンドで整理し、接触・振動によるノイズの介入を防ぎましょう。
2. EQの基本と実践的な設定
2-1. EQとは?役割と種類
EQ(イコライザー)は、音の周波数帯を調整して各トラックが明瞭に聴こえるようにする“音作りの扉”です。 特にボーカロイドや伴奏トラックでは、重複する帯域がが込み合って聴こえる“マスキング”を防ぐのに有効です。
- ロー(低域):100Hz以下で不要な低音を整理
- ミッド(中域):500Hz〜2kHzは“声の明瞭さ”に直結
- ハイ(高域):8kHz以上で“空気感”“明るさ”を演出
以下の動画でStudio OneでのEQ操作を詳しく解説しています:
Studio One – EQ Tutorial (MADE EASY)
2-2. 実践設定例:ボーカル/ベース/伴奏
| トラック | 対象帯域 | 推奨設定 |
|---|---|---|
| ボーカル(ボカロ) | 80Hz以下カット、1.5kHzブースト+10kHz少し持ち上げ | ハイパス80Hz、ピーク+2dB@1.5kHz |
| ベースライン | 40Hz〜60Hzを安定化、800Hzあたりで明瞭に | ローシェルフ+3dB@50Hz、ピーク−2dB@800Hz |
| ピアノ/ギター | 250Hz〜500Hzを調整、ハイ上げ+12kHzで輝き | ピーク−1dB@350Hz、ハイシェルフ+2dB@12kHz |
- マスキング回避のため、同じ帯域で他のトラックが出過ぎている場合はシェルフやピークを使って“場を譲る”ことが重要です。
- 必要以上にブーストを重ねるとクリッピングの原因になるため、まずカットで整理してからブーストを少なめに設計します。
3. コンプレッサーの基礎と応用
3-1. コンプレッサーとは?動作原理とパラメータ
コンプレッサーは“音の高さ”ではなく“音の大きさ(ダイナミクス)”を整える機材です。音量が大きくなりすぎた場合に抑え、弱すぎる部分を引き出して、全体の聴きやすさを向上させます。
- Threshold(スレッショルド):圧縮を開始する音量の基準
- Ratio(比率):どの程度圧縮するかの比率(例:3:1)
- Attack(アタック):圧縮開始までの時間(例:10〜30ms)
- Release(リリース):圧縮終了までの時間(例:80〜150ms)
- Make-up Gain:圧縮後の音量を補正
以下の動画でStudio Oneでのコンプレッサーの使い方を学べます:
How To Use The Studio One Compressor
3-2. 実践設定例:ボーカルバス/ドラムバス/マスターバス
| 用途 | 設定例 | 目的 |
|---|---|---|
| ボーカルバス | Threshold-18 dB、Ratio 3:1、Attack 20ms、Release 100ms、Make-up +2 dB | ボーカルのレベルを安定化させて座りを良くする |
| ドラムバス | Threshold-15 dB、Ratio 4:1、Attack 10ms、Release 80ms、Make-up +3 dB | リズムのアタックを強調してグルーヴ感を出す |
| マスターバス | Threshold-12 dB、Ratio 2:1、Attack 5ms、Release 200ms、Make-up +1.5 dB | 最終出力の音圧を整えてアルバム音源としてまとまりを出す |
- コンプレッサーを使いすぎると“潰れた音”になるため、まず少ない比率・ゆるめの設定から始めましょう。
- ボーカロイドの声は、音色が一定なモデルが多いので、極端な変化よりも“自然に聴かせるための補正”として使うのがコツです。
4. EQ+コンプを組み合わせたミキシングワークフロー
4-1. 手順の流れ
- 各トラックに「ハイパスフィルター(80Hz以下カット)」のEQを挿入
- 不要帯域をカットした後、メイン帯域を調整(中域~高域)
- 各トラックに適切なコンプレッサーを挿入し、ダイナミクスを制御
- バスやマスターにラウドネス・リミッターを挿して音圧を整える
- モニタースピーカー+ヘッドホンで最終確認し、ステレオ化・定位を整える
4-2. ミキシング時の注意点とチェックリスト
- 低域だけブーストしても“音が重く”なるだけ。まずカットで整理。
- コンプレッサーのアタックを遅めに設定すると“音が潰れず”明瞭さが残ります。
- ベースとキックがぶつかっている場合、どちらかをハイパスまたは位相反転で整理。
- モニター環境が整っていないと “ミックスが将来劣化” する恐れがあります。必ずスピーカー+ヘッドホンで二重チェック。
5. ボーカロイド制作におけるEQ・コンプの活用ポイント
中級者向けのボーカロイド制作では、ただ“歌を録る”だけでなく、バスやトラック全体を“聴かせるために整える”ことが重要です。以下は、特に意識すべきポイントです。
5-1. ボーカロイド声質の整理
- モデル化された声は “一定の質感” があるため、過度な変化よりも “馴染ませるための補正” が有効。
- 例えば「AI Mai」を使用している場合、声の明瞭さを活かしつつ低域を控えめにカットし、高域を少しだけ持ち上げると滑らかさが増します。
- ハーモニーやコーラスを別トラックにして、自動的に少し遅らせることで“人間らしいズレ”を演出できます。
5-2. 伴奏トラックの整列と音圧感の確保
- ドラム・ベース・コードのミックス時、まず“音の隙間”を意識してEQで整理。
- 次に、コンプレッサーを使って伴奏全体をひとまとめにしたバス処理へ。例えば“Back ing Bus”にRatio 2:1を設定し、まとまりを出します。
- ボーカロイドの声だけが“浮いて”聴こえる場合は、声トラックにSide-chain圧縮を設定して伴奏が歌を邪魔しないように調整。Studio Oneのサイドチェイン機能を活用しましょう。
6. よくあるミキシング失敗と改善策
| 失敗例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ミックスがモヤっとして聴こえる | 低域が整理されておらず、どの音も“重さ”を持っている | ハイパスフィルターで80 Hz以下をカット、各トラックのローを揃える。 |
| 歌声が伴奏に埋もれる | ボーカルトラックに十分な音量・明瞭さがない、または伴奏の中域が強すぎる | ボーカルの中域(1–4 kHz)を少しブースト、伴奏の同帯域を控えめに。 |
| 音圧だけ上げたが迫力が出ない | 適切なバス処理・ステレオ展開がされていない | 伴奏を左右に分散し、マスターバス前に軽めのコンプレッサーを挿入。 |
まとめ
今回は、EQとコンプレッサーを使った中級ミキシングについて解説しました。 機材の選び方と接続・ケーブル整理、モニタリング環境の整備を前提としつつ、EQによる帯域整理・コンプレッサーによるダイナミクス制御・ワークフロー全体の流れまでをカバーしました。 ボーカロイド楽曲だからこそ、“歌声を聴かせるためのミキシング”が重要です。EQとコンプレッサーを正しく使いこなせば、歌声と伴奏が一体となった“プロ品質”の音を実現できます。
次回予告
次回(第28回)は、「空間系エフェクト(リバーブ・ディレイ)の使い方」をテーマに、歌声と楽器の“広がり”を演出するための実践テクニックをお届けします。
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。