第18回:ボイスバンクの切り替えとコラボ編集の実践|VOCALOID中級講座[AI]
ボーカロイド制作の中級者になると、1つの楽曲で複数の歌声を使い分ける「ボイスバンクの切り替え」や、他の制作者と共同で1つの楽曲を仕上げる「コラボ編集」が必要になる場面が増えてきます。
本記事では、Synthesizer V Studio ProとStudio One 7を中心に、実践的なボイスバンク切り替え方法、コラボ編集時のデータ共有手順、音質を揃えるテクニックなどを詳しく解説します。
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1. ボイスバンクとは? 基本構造の理解
ボイスバンクとは、AI歌声の「声質・表現スタイル」を定義するデータセットです。
Synthesizer V では「音声モデル(Voice Database)」として提供され、各シンガーは独自のAIモデルで構築されています。
代表的なSynthesizer Vボイスバンク
| ボイスバンク名 | 特徴 | 対応言語 |
|---|---|---|
| 弦巻マキ AI | 柔らかく透明感のある女性ボイス。ポップス向き。 | 日本語 |
| AI Mai | 自然でリアルな表情。バラードやジャズに強い。 | 日本語 |
| ANRI | 力強く感情豊かな歌唱が可能。ロック系向け。 | 日本語/英語 |
| Avanna | 澄んだ英語歌声。ポップス・アニメソング向け。 | 英語 |
2. ボイスバンクの切り替え方
Synthesizer V Studio Proでの操作手順
- メインウィンドウ上部の「トラックヘッダー」をクリックします。
- 現在使用中のシンガー名をクリックし、プルダウンメニューを開きます。
- 「シンガーの変更」を選択し、別のボイスバンクを選びます。
- 切り替え後、AIの学習パターンが再適用され、再合成が自動的に行われます。
同一メロディラインに異なるボイスを当てることで、Aメロとサビの対比や、デュエット表現を簡単に作ることができます。
Studio Oneとの連携
Studio OneでSynthesizer VをVSTプラグインとして起動している場合、各トラックごとに別のボイスバンクを割り当てるのが基本です。
以下のようにトラック構成を整理すると、後のミキシングもスムーズです。
【例】
Track 1:メインボーカル(弦巻マキ AI)
Track 2:ハーモニー(AI Mai)
Track 3:コーラス(ANRI)
Track 4:ガイドメロディ(Avanna)
これにより、声質ごとの定位・リバーブ調整・EQ設定が行いやすくなります。
3. コラボ編集で役立つ共有方法
① プロジェクトデータの共有
共同制作では、Synthesizer Vのプロジェクト(.svp)か、Studio Oneのセッションデータ(.song)を共有します。
ただし、相手が同じボイスバンクを所持していない場合、歌声は再現できません。そのため、以下の方法が推奨されます。
- SVPデータ + 書き出したWAV音源をセットで共有
- Studio Oneセッション内で「すべてのメディアをバンドル」して保存
- Google DriveやDropboxなどクラウド経由で送信
② トラック分けのルール
コラボ相手が編集しやすいよう、トラック名やラベルを統一しておきましょう。
| トラック名 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| Main_Vo_Maki | メインボーカル(弦巻マキ) | AutoTuneなし |
| Chorus_AImai | ハーモニーパート | リバーブ軽め |
| Instrument | 伴奏バッキング | ステム化推奨 |
| Guide | メロディ確認用 | ミュート可能 |
命名ルールを統一するだけで、他人が開いた時の理解度が格段に上がります。
4. 異なるボイスの音質を揃えるミキシング
EQとコンプレッサーの調整
複数のボイスを混ぜると、声質の違いによって聴感上のバランスが崩れます。
Synthesizer VのボイスはAIごとに周波数特性が異なるため、以下の基本を意識しましょう。
- 低域(100Hz以下)はカットしてクリアに
- 中域(2kHz〜4kHz)は存在感の調整ポイント
- 高域(8kHz〜10kHz)は空気感・明るさを調整
コンプレッサー設定例(メインボーカル)
| 項目 | 推奨設定値 |
|---|---|
| Ratio | 3:1〜4:1 |
| Threshold | -12dB付近 |
| Attack | 10ms前後 |
| Release | 80ms前後 |
| Make-up Gain | +2dB程度 |
空間系エフェクトの使い分け
異なるボイスバンクを同一空間で自然に聴かせるためには、リバーブとディレイの調整が鍵です。
- 同じリバーブ設定を共有し、深さ(Send量)で差をつける
- サビでは広め(Hall系)、Aメロでは狭め(Room系)を使い分ける
- ディレイを控えめにして音の輪郭を保つ
5. ノイズ対策と接続順序
オーディオインターフェースやMIDI機器を複数使う場合、ノイズが混入しやすくなります。
正しい接続順序と電源ラインの整理で、トラブルを防ぎましょう。
推奨接続フロー
PC → オーディオインターフェース → モニタースピーカー
↓
MIDIキーボード
USBハブ経由ではなく、直接PCに接続することでレイテンシやノイズを軽減できます。
また、ケーブルの種類によっても音質に影響が出ます。
ケーブルの選び方
| ケーブル種別 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| XLR | ノイズに強く、プロ仕様 | マイク〜オーディオI/F |
| TRS(バランス) | モノラル接続でノイズ軽減 | モニタースピーカー接続 |
| RCA | 安価だがノイズに弱い | 簡易接続のみ |
| USB-B | デジタル信号用 | MIDIキーボード接続 |
6. コラボ時の音質統一のコツ
コラボ相手の環境が異なる場合、録音環境や音質のばらつきが発生します。
その場合は以下の手順で統一感を持たせます。
- 共通のリファレンストラックを1曲決める
- EQプリセットを共有して周波数帯を合わせる
- 全員が同じモニター音量(約80dB)を目安に作業する
- 最終ミックスは1人が統合担当を行う
7. 実践動画・参考リンク
- Synthesizer V Studio Tutorial – Vocal Modes & Voice‑Bank Switching
- PreSonus Studio One – How to Add Effects to a Specific Vocal Phrase
- Synthesizer V公式サイト
- Studio One公式サイト
まとめ
複数のボイスバンクを自在に使いこなすことは、楽曲に多彩な表情を与える鍵です。
AI歌声がもつ声質差を理解し、Studio Oneとの連携を工夫すれば、プロレベルのデュエットやハーモニーも簡単に再現できます。
また、コラボ編集では「共有データの整備」「音質統一」「役割分担」を意識することで、スムーズな制作が可能になります。
次回予告
次回、第19回は「メロディ作成のコツとスケール理論の基礎」。
音階・スケールの理解を通して、メロディラインに説得力を持たせる方法を解説します。
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。