第11回:度数の性格① 明るい響きの「長(メジャー)」と「完全」の度数[AI]

こんにちは!AI音楽講師です。前回の第10回では、音と音の関係性を表す“あだ名”である「度数」の数え方をマスターしましたね。「ド(C)から見てソ(G)は5度」のように、基準の音から何番目かを数える感覚は掴めましたでしょうか?

さて、第11回の今回は、その「度数」をさらに深掘りしていきます。前回、「ド(C)から見てソ♯(G♯)も、ソ♭(G♭)も、みんな5度の仲間だ」と説明しました。しかし、実際に音を聴いてみると、その響きは全然違いますよね。そうです、同じ「5度」という“あだ名”でも、それぞれに「性格」があるのです。

今回は、その中でも「明るい」「安定している」「心地よい」といった、ポジティブな響きを持つ性格の度数たち、「長(ちょう)=メジャー」「完全(かんぜん)=パーフェクト」という2つのファミリーについて、しつこく、じっくりと学んでいきます。ここを理解すれば、なぜコードに「メジャーコード(明るい響き)」と「マイナーコード(暗い響き)」があるのか、その根本的な理由が見えてきます!

コード進行
コード進行

理論学習①:安定感の象徴!「完全(パーフェクト)」ファミリー

まずご紹介するのは、音の響きが非常に「安定的」で「純粋」、そしてよく「協和する(きょうわする)」と言われる、とても力強い間柄の度数たちです。彼らは、その完璧な調和から「完全(Perfect)」という称号を与えられています。

完全ファミリーに属するのは、以下の4つの度数です。

  • 1度、4度、5度、8度(オクターブ)

なぜこの4つが「完全」なのか?という物理的な話は非常に難しいので、今は「音楽の歴史の中で、この4つは特別に安定した響きだと認められた、王族みたいな存在なんだな」と覚えておけばOKです。

では、「ド(C)」を基準(1度)とした場合、完全ファミリーの音は具体的にどの音になるのか、そして基準の音から見て「半音いくつぶん」離れているのかを見てみましょう。この「半音の数」が、度数の性格を決めるレシピになります。

度数の正式名称Cからの音半音の数響きのイメージ
完全1度 (P1)C (ド)0個ユニゾン(完全に同じ音)
完全4度 (P4)F (ファ)5個少し浮遊感のある、硬質な響き
完全5度 (P5)G (ソ)7個非常に力強く、安定した響き(コードの土台)
完全8度 (P8)高いC (ド)12個オクターブ(完全に溶け合う)

Studio Oneでの実践①:「完全」の響きを耳に刻む

さあ、この「安定した響き」をあなたの耳で実際に確かめてみましょう。

  1. Studio Oneで「Presence」トラックを作成し、ピアノロールを開きます。
  2. まず、基準となる「C3」の音を、少し長め(1小節くらい)に打ち込んでください。
  3. 次に、完全5度の響きを確かめます。「C3」と同じタイミングで、その上に「G3」の音を重ねて打ち込んでください。

再生して、この2つの音が重なった響きをじっくりと聴いてみてください。どうでしょうか?ぶつかり合う感じが全くなく、非常に力強く、どっしりと安定した響きがしませんか?これが「完全」の響きです。同様に、「C3とF3(完全4度)」も試して、その響きの違いを感じてみてください。

Perfect 5th

理論学習②:明るさの象徴!「長(メジャー)」ファミリー

次にご紹介するのが、音楽に「明るさ」「華やかさ」「楽しさ」といった感情的な色彩を与えてくれる、「長(Major)」ファミリーです。

長(メジャー)ファミリーに属するのは、完全ファミリー以外の残り4つの度数です。

  • 2度、3度、6度、7度

中でも、「長3度(ちょうさんど / Major 3rd)」は、音楽の明るさを決定づける、最も重要な音です。この音があるかないかで、曲の印象が180度変わると言っても過言ではありません。

度数の正式名称Cからの音半音の数響きのイメージ
長2度 (M2)D (レ)2個次の音へ進む感じ、普通の響き
長3度 (M3)E (ミ)4個最高に明るく、華やかな響き(最重要!)
長6度 (M6)A (ラ)9個少し切なさも混じった、甘い響き
長7度 (M7)B (シ)11個おしゃれで、解決を求める緊張感のある響き

Studio Oneでの実践②:「長3度」の明るさを体感する

百聞は一見に如かず。音楽の「明るさ」の正体を、あなたの耳で確かめましょう。

  1. 先ほどの「C3」のノートはそのままに、上に重ねていた「G3」を一旦削除します。
  2. 「C3」と同じタイミングで、その上に「E3」の音を重ねて打ち込んでください。これが「長3度」です。

さあ、再生してみましょう!どうですか?聴いた瞬間に「あ、明るい!」と感じませんでしたか?まるで、雲間から太陽の光が差し込んできたような、希望に満ちた華やかな響き。これこそが「長(メジャー)」の響きの正体であり、特に「長3度」が持つ魔法の力なのです。

Major 3rd

第11回のまとめ

お疲れ様でした!今回は、度数に「性格」を与えることで、音の響きをより深く理解する方法を学びました。

  • 度数には、その響きのキャラクターを表す「完全(Perfect)」「長(Major)」などの“性格”がある。
  • 完全ファミリー(1, 4, 5, 8度)は、安定的で力強い響きを持つ。特に完全5度はコードの土台となる。
  • 長(メジャー)ファミリー(2, 3, 6, 7度)は、明るく華やかな響きを持つ。
  • 特に「長3度」の響き(Cに対するEの音)は、音楽の「明るさ」を決定づける最も重要な要素である。

今回学んだ「半音の数」と「度数の性格」の対応表は、今後のコード理論の全てにおいて基礎となる、超・重要なレシピです。次回は、いよいよもう一つの性格、「暗い響き」を持つ「短(マイナー)」ファミリーについて学びます。今日の明るい響きを、耳が覚えているうちに、次へ進みましょう!


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