第9回：鍵盤の謎！なぜ「ミとファ」「シとド」の間には黒鍵がないのか？[AI]

こんにちは！AI音楽講師です。前回までのレッスンで、音楽の距離を測るための2つの“ものさし”、「半音」と「全音」をマスターしましたね。これで、音楽の設計図を読み解くための基本的な準備は万端です。

さて、第9回の今回は、少し趣向を変えて、多くの音楽初心者が一度は抱くであろう、ある素朴な疑問について徹底的に掘り下げていきます。それは…
「なぜ、ピアノの鍵盤は『ミとファ』、そして『シとド』の間だけ、黒い鍵盤がないのだろう？」
という謎です。

この一見すると「いびつ」で「不規則」に見える鍵盤の並び。実は、これこそが音楽に「感情」や「物語」を生み出すための、非常に巧妙な仕掛けなのです。今回は、この謎を解き明かすことで、なぜ音楽が私たちの心を揺さぶるのか、その根源に触れていきましょう。少し歴史の話も交えながら、しつこく解説していきます！

結論：「黒鍵がない」のではなく「そこは元々、半音だった」から

いきなり結論から言います。この謎を理解するための視点は、「なぜ黒鍵が“ない”のか？」と考えるのではありません。正しくは、「なぜ、他の場所には黒鍵が“ある”のか？」と考えるのです。

どういうことかと言うと、音楽の歴史をものすごーく、ざっくりと説明すると、以下のようになります。

1. 大昔、音楽の基本となる「ドレミファソラシ」という7つの音（＝白鍵の音）がまず先に確立されました。これが音楽のメインキャラクターたちです。
2. 人々がこの7つの音の並びを調べたところ、音と音の距離が場所によって違うことに気づきました。「ド-レ」間は全音、「レ-ミ」間も全音なのに、「ミ-ファ」の間と「シ-ド」の間だけ、もともと距離が「半音」だったのです。
3. その後、音楽が発展するにつれて、「もっと豊かな表現がしたい！」と考えた人々が、メインキャラクター（白鍵）たちの間に、追加のキャラクター（＝黒鍵）を登場させました。
4. しかし、「ミ-ファ」と「シ-ド」の間は、もともと半音しか隙間がありません。狭すぎて、追加のキャラクターが入る余地がなかったのです。

つまり、「黒鍵がない」のではなくて、「ミとファ、シとドの間は、そもそも半音なので、追加の音（黒鍵）を入れる必要がなかった（入れられなかった）」というのが、この謎の答えなのです。

Studio Oneでの実践：ドレミファソラシの「いびつな階段」を再確認する

この「ドレミファソラシという音の並びは、もともと不均等な階段だった」という事実を、Studio Oneのピアノロールで視覚的に再確認してみましょう。

1. いつものように「Presence」トラックを作成し、ピアノロールを開きます。
2. ペイントツール（ショートカットキー：3）で、「C3」から「C4」まで、白鍵だけを順番にクリックしてノートを置いていきましょう。（ドレミファソラシドですね）

さあ、打ち込んだノートの並びをじっくりと観察してください。いかがでしょうか？

「C-D」や「D-E」の間には、黒鍵1つぶんの隙間が空いている（＝全音）のに、「E-F」（ミ-ファ）と「B-C」（シ-ド）のノートだけが、隙間なくピッタリとくっついていますね。これが、ドレミファソラシという音階が、均等な階段ではなく、2箇所だけ段差の狭い、特殊な階段であることの動かぬ証拠です。

理論学習②：もし鍵盤が“均等”だったら音楽はどうなる？

では、もしこの「いびつさ」がなく、全ての音の距離が均等だったら、音楽はどう聴こえるのでしょうか？実は、それは前回のレッスンで既に体験しています。

第8回で作成した「全音階（ホールトーンスケール）」を思い出してください。あれは、全ての音の距離が「全音」で構成された、完璧に均等な階段でした。

もう一度、全音階（C, D, E, F#, G#, A#, C）を打ち込んで、その響きを聴いてみてください。

どうでしょう？どこかフワフワしていて、どこが始まりでどこが終わりなのか、よく分からない不思議な響きがしますね。物語の「解決感」や「終着点」が感じられません。

次に、先ほど打ち込んだ「ドレミファソラシド」を聴いてみてください。最後の「ド」の音を聴いた時、「あ、終わったな」「家に帰ってきたな」という安心感、解決感がありませんか？

この「解決感」を生み出している犯人こそが、「シ」から「ド」へと進む、あの狭い「半音」の階段なのです！この半音という強い引力があるからこそ、音楽には「緊張と緩和」というストーリーが生まれます。「ミからファへ」と進む半音も同様に、音楽に独特の色彩と感情を与えています。

第9回のまとめ

お疲れ様でした！今回は、ピアノの鍵盤の謎という、少し哲学的なテーマに踏み込んでみました。

• 鍵盤に黒鍵がない場所があるのは、歴史的に「ドレミファソラシ」という7つの音が先に存在したから。
• この「ドレミファソラシ」という音の並びは、もともと「ミ-ファ」間と「シ-ド」間が「半音」という、不均等な構造をしていた。
• 黒鍵は、全音の隙間を埋めるために後から追加された音である。
• この「いびつさ」「不均等さ」こそが、音楽に「解決感」や「物語性」といった感情を生み出す源泉となっている。

この不均等な「ドレミファソラシド」の構造こそが、次回から学んでいく「スケール（音階）」、そして「コード進行」の全ての秘密を握っています。あなたは今、音楽がなぜ感動的なのか、その核心に触れたのです！

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