第5回:音のリズム!音符とグリッドで「長さ」を正確に打ち込もう[AI]

こんにちは!AI音楽講師です。前回は、ピアノロールという「音楽の地図」の読み方をマスターし、全ての音の場所(高さ)が分かるようになりましたね。

第2回で、音楽には「高さ」「長さ」「強さ」の3要素があると学びました。第5回の今回は、その中の「長さ」、つまり「リズム」について、超・徹底的に掘り下げていきます。どんなに素敵なメロディも、リズムがズレてしまっては台無しです。逆に、リズムを制する者は、音楽を制すると言っても過言ではありません。

今回は、Studio Oneのピアノロールに表示されている方眼紙のようなマス目(グリッド)の正体を解き明かし、あなたが狙った通りのタイミングで正確に音を鳴らすための技術を身につけていきましょう!

コード進行
コード進行

理論学習①:「拍(ビート)」と「小節(しょうせつ)」という時間の入れ物

リズムの話をする前に、音楽における時間の基本的な単位を知る必要があります。それが「拍」と「小節」です。

  • 拍(はく) / ビート:音楽を聴いている時に、自然と手で叩いたり、足でリズムを取ったりしますよね。その「トン、トン、トン、トン」という、音楽の心臓の鼓動のような一回一回の刻みのことを「拍」または「ビート」と呼びます。
  • 小節(しょうせつ) / バー:その「拍」をいくつかまとめた、大きな「時間の入れ物」のことです。J-POPやロックなど、私たちが普段耳にするほとんどの曲では、4つの拍をひとまとめにして「1小節」と数えます。これを「4拍子(よんびょうし)」と言います。

「1, 2, 3, 4, 1, 2, 3, 4…」と、4つ数えたら1セット。この1セットが「1小節」です。楽譜やDAWでは、この小節を基準に音楽が作られていきます。

Studio Oneでの実践①:メトロノームで「拍」と「小節」を体感する

この「拍」と「小節」は、Studio Oneを使えば簡単に耳で聴いて確認することができます。そのための道具が「メトロノーム(クリック)」です。

  1. Studio Oneを起動し、空のソングを開きます。
  2. 画面の一番下にある、再生や停止ボタンが並んでいるエリア(トランスポートパネル)を見てください。そこに、三角形のアイコン(メトロノーム)があります。これをクリックして、青く点灯させてください。これがメトロノームをONにするスイッチです。
  3. その隣に「クリック」という文字があれば、それもON(青く点灯)にしてください。
  4. 準備ができたら、再生ボタン(▶)を押してみましょう。

どうでしょうか?「チッ、コン、コン、コン、チッ、コン、コン、コン…」という音が聞こえてきますね。

  • この「コン」という一回一回の音が、まさに「1拍(1ビート)」です。
  • そして、少し高い「チッ」という音が、新しい小節の始まりを告げる「1拍目」の合図です。

この音を聴きながら、ピアノロールの上部にある数字(1, 2, 3, 4…)を見てください。再生カーソルが「1」から「2」に進む間に、ちょうど「チッ、コン、コン、コン」と4回音が鳴るはずです。この数字と数字の間が「1小節」という時間の長さを示しているのです。

理論学習②:「音符」と「グリッド」の関係

さて、いよいよ本題です。ピアノロールの背景にある方眼紙(グリッド)は、この「拍」をさらに細かく分割した、リズムの「ものさし」です。そして、そのものさしの目盛りに合わせて置くノートの「長さ」のことを、音楽用語で「音符(おんぷ)」と呼びます。

ここでは、初心者が絶対に覚えるべき、基本となる4種類の音符を紹介します。

音符の種類長さ1小節(4拍)に何個入るか
全音符(ぜんおんぷ)4拍ぶん(小節いっぱい)1個
2分音符(にぶおんぷ)2拍ぶん2個
4分音符(しぶおんぷ)1拍ぶん(メトロノームの1回分)4個
8分音符(はちぶおんぷ)半拍ぶん(0.5拍)8個

特に「4分音符 = 1拍」という関係は、リズムの基本となるので、しっかりと覚えてください。

Studio Oneでの実践②:グリッドを制して正確なリズムを打ち込む

この音符の長さを、Studio Oneではグリッドの設定(クオンタイズ値)を変えることで、簡単かつ正確に打ち込むことができます。

ステップ1:「4分音符」で打ち込んでみる

  1. ピアノロールを開き、画面上部にあるツールバーから「クオンタイズ」という設定項目を探します。「1/16」などの分数で表示されているはずです。
  2. ここをクリックして、メニューから「1/4」を選んでください。これで、グリッドの縦線が「4分音符(1拍)」ごとの表示になります。
  3. ペイントツール(ブラシ)で、第1小節の1拍目に「C3」、2拍目に「D3」、3拍目に「E3」、4拍目に「F3」と、グリッドの線にぴったり合わせてノートを置いてみましょう。
  4. メトロノームをONにして再生すると、クリック音とノートの音が完璧に一致するはずです。これが最も基本的なリズムの打ち込み方です。

ステップ2:「8分音符」で打ち込んでみる

  1. 今度は、「クオンタイズ」の設定を「1/8」に変更してみてください。
  2. どうでしょうか?グリッドの線が、先ほどの倍に増えて、細かくなりましたね。これが「8分音符」の“ものさし”です。
  3. 先ほどのノートを一度消して、今度は1小節に8個のノート(C,D,E,F,G,A,B,C)を、この細かいグリッドに合わせて打ち込んでみましょう。
  4. 再生すると、「タカタカタカタカ」という、倍の速さのリズムが鳴るはずです。

ステップ3:ノートの長さを変えてみる

ノートの長さを変えるには、矢印ツールでノートの右端をドラッグするのでしたね。この時も、グリッド設定が役に立ちます。

  1. クオンタイズを「1/4」に戻します。
  2. 1拍目に「C3」のノートを置きます。
  3. 矢印ツールでノートの右端をつかんで、3拍目の始まりの線までドラッグしてみてください。グリッドに吸い付くように、ピッタリと長さを変えられるはずです。これで「2分音符(2拍の長さ)」が完成しました。

第5回のまとめ

お疲れ様でした!今回は音楽の骨格とも言える「リズム」について、その基本的な仕組みとStudio Oneでの打ち込み方を学びました。

  • 音楽の時間には「拍(ビート)」「小節」という単位がある。
  • ピアノロールの横軸は時間を示し、背景の「グリッド」はリズムの“ものさし”の役割を果たす。
  • 「クオンタイズ」設定でグリッドの細かさを変えることで、4分音符8分音符といった様々な長さの音符を正確に打ち込める。
  • 「4分音符 = 1拍」はリズムの黄金ルール!

まずは、クオンタイズ設定を「1/4」「1/8」「1/16」と色々変えながら、グリッドの見た目がどう変わるか、そしてノートがどのようにグリッドに吸い付く(スナップする)かを、遊びながら試してみてください。この感覚を掴むことが、リズムマスターへの第一歩です!


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