コスプレ造形初心者向け武器・防具の作り方!EVAフォーム加工の基本

「このキャラの武器、どこを探しても売っていない…」
「防具付きの衣装だけど、既製品はペラペラの布で再現度が低い…」

コスプレを続けていると、必ずこの壁にぶつかります。そんな時こそ、「造形(ぞうけい)」への扉を開くチャンスです。

「造形なんて美術の成績が良くないと無理でしょ?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
現在のコスプレ造形は、軽くて扱いやすい「EVAフォーム」という素材の登場により、カッターとボンドさえあれば誰でも挑戦できる「工作」になっています。

コスプレ完全攻略ガイド
コスプレ完全攻略ガイド

この記事では、ベテラン造形師である私が、武器や防具を作るための「素材選び」と「基本の加工テクニック」を伝授します。
これを読めば、100均の材料やホームセンターの道具を使って、世界に一つだけの装備を作り出せるようになりますよ!


1-1. EVAフォームの特徴

EVAフォームとは、サンダルやバスマットにも使われている「合成樹脂の発泡素材」です。コスプレ界では商品名で呼ばれることも多いです。

  • 代表的な商品名:
    コスボード、ライオンボード、PH9など。
  • 軽くて柔らかい:
    女性でもハサミやカッターでサクサク切れます。
  • 熱で曲がる:
    温めると柔らかくなり、冷めるとその形で固まります。体にフィットする防具が作れます。
  • 安全:
    ぶつかっても痛くないため、イベントへの持ち込み基準をクリアしやすいです。

1-2. 厚みの使い分け

ボードには様々な厚みがあります。作るものによって使い分けます。

  • 2mm〜3mm:
    模様や装飾、重ね貼り用。
  • 5mm:
    防具のベースや、小型の武器などに最もよく使われる万能サイズ。
  • 10mm:
    大きな剣の芯材や、厚みを出したいパーツ用。

初心者はまず、汎用性の高い「5mm厚」と装飾用の「2mm厚」を買ってみるのがおすすめです。


2. 揃えるべき道具(カッター、G10ボンド、ヒートガン、造形ベース)

造形は「道具」で決まります。最初から高い電動工具を買う必要はありませんが、以下の4つだけは揃えてください。

2-1. カッターナイフ(黒刃推奨)

普通の事務用カッターでも切れますが、刃は「黒刃(くろば)」に変えてください。
通常の銀色の刃よりも鋭利で、断面がスパッと綺麗に切れます。造形において「断面の美しさ」は完成度に直結します。

2-2. ゴム系接着剤(G10ボンド・G17ボンド)

瞬間接着剤はボードに染み込んでしまい、くっつきません。
必ず「G10(コニシボンド)」などのゴム系接着剤(溶剤形接着剤)を使います。
※黄色いパッケージの「G17」は安価で入手しやすいですが、粘り気が強く糸を引きやすいです。造形用としては、少しサラッとしていて塗りやすい「G10」や「Gクリヤー」が人気です。

2-3. ヒートガン(工業用ドライヤー)

ヘアードライヤーの超強力版です。数百度の熱風が出ます。
ボードを曲げるためには高い温度が必要なので、ヘアードライヤーでは火力が足りません。Amazonなどで2,000円〜3,000円程度で購入できます。

2-4. 下地剤(造形ベース

ボードに直接スプレー塗装をすると、スポンジのように塗料を吸い込んでしまいます。
塗装前に塗ることで表面をコーティングする「造形ベース」や「ジェッソ」が必要です。


3. 型紙作りから切り出しまで!断面を綺麗にするカッターのコツ

材料が揃ったら、制作開始です。まずはボードを切り出す工程から。

3-1. 型紙を作る

いきなりボードに描くのではなく、まずは厚紙や工作用紙で「型紙」を作ります。
体に当ててサイズ感を確認できるので、失敗が減ります。
「球体」や「複雑な曲面」を作りたい場合は、ビニール袋とガムテープを使って自分の体の型を取る方法もありますが、最初は「平面の組み合わせ」で作れるデザインから始めましょう。

3-2. カッターの刃は常に新品にする

EVAフォームは刃の摩耗が早いです。「切れ味が落ちたな」と思ったら、惜しまずにポキポキ刃を折って、常に鋭い状態で切ってください。
切れ味の悪い刃で無理やり切ると、断面がボロボロになり、塗装しても修正できなくなります。

3-3. 刃を寝かせず「一発」で引く

  • 刃を立てる:
    刃を寝かせすぎると断面が斜めになります。垂直に立てて切りましょう。
  • 一筆書き:
    ギコギコとノコギリのように動かすと断面が汚くなります。手前にスーッと引くように、できるだけ一回で切り切るのがコツです。

4. 最強の接着剤「ゴム系ボンド」の正しい塗り方と圧着

ここが造形最大の落とし穴です。Gボンドの使い方は、普通の工作糊とは全く違います。

4-1. 「両面」に塗る

くっつけたいパーツの「両方の面」にボンドを塗ります。
ヘラや端切れを使って、薄く均一に伸ばしましょう。

4-2. 「乾かしてから」貼り合わせる

ここが一番重要です! 塗ってすぐに貼り合わせても、全くくっつきません。
「指で触ってもベタつかない(手につかない)」状態になるまで、5分〜10分ほど乾燥させます。
「えっ、乾いたらつかないじゃん?」と思うかもしれませんが、ゴム系ボンドは「乾いたゴム同士が強力に癒着する」という性質を持っています。

4-3. 強く「圧着」する

乾いた同士を貼り合わせ、指やハンマーなどでギュッと強く押し付けます(圧着)。
すると、二度と剥がれないくらい強力に一体化します。ボード造形の強度はこの工程で決まります。


5. 熱で曲げる!体にフィットする曲面を作るヒートガン活用法

平面の板から、腕や足にフィットする立体的な防具を作る魔法、それが「熱加工」です。

5-1. 炙り方のコツ

ヒートガンのスイッチを入れ、ボードから10cm〜20cmほど離して、円を描くように全体を温めます。
一点に集中しすぎると焦げたり溶けたりするので注意してください。
表面が少し艶っぽくなったり、手で触ってフニャッとするくらいが目安です。

5-2. 冷めるまで固定する

柔らかくなったら、自分の腕や太もも(火傷しないよう服の上から)、または丸い缶などに押し当ててカーブを作ります。
そして、「冷めるまでその形をキープ」します。
冷めた瞬間、ボードはその形でカチッと固まります。これで防具のベースが完成です。

💡 注意点
ヒートガンの吹き出し口は数百度になります。使用直後は絶対に触らないでください。また、可燃物の近くで使わないよう注意しましょう。


まとめ

今回は、コスプレ造形の入り口である「EVAフォームの基礎加工」について解説しました。

記事の要点まとめ

  • 素材は軽くて加工しやすい「EVAフォーム(5mm厚)」から始めよう。
  • カッターは「黒刃」を使い、常に切れ味を保つこと。
  • Gボンドは「両面に塗る」「乾かす」「圧着する」の3ステップが絶対ルール。
  • ヒートガンで熱を加えれば、平面のボードが立体の防具に変わる。

「切って、貼って、曲げる」。この3つの工程だけで、基本的な剣や鎧は作れてしまいます。
まずは小さな短剣や、腕当てなど、シンプルなパーツから作ってみてください。自分の手で装備を生み出す楽しさに、きっとハマるはずです。

次回は、作った造形物を「本物」に変える工程です。
ただのスポンジ素材を、重厚な金属や使い込まれた革のように見せる「塗装テクニック」を紹介します。


シリーズナビゲーション

  • 今の立ち位置: 全11回中、今回は【第6回】です。
  • 次回予告: 塗装で金属感を出す!100均アイテムでもできるリアルな質感表現について解説します。

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