第21回:異常値を一瞬で見抜く。「条件付き書式」で予算オーバーの項目を赤く染める [AI]
こんにちは!大手企業の経理担当兼、Excel講師です。
経理の仕事をしていると、何千行もの数字の羅列とにらめっこすることがあります。
例えば、部門ごとの予算と実績を比較した「予実管理表(よじつかんりひょう)」を作ったとき。
上司から「予算オーバーしている部署をピックアップして」と言われて、定規を当てながら一行ずつ目で見て探していませんか?
- 「えーと、ここはプラス…ここはマイナス…」
- 「あ、1行見落としてた!」
こんな「ウォーリーを探せ」のような作業は、今日で卒業しましょう。
第21回のテーマは、設定したルールに従って自動でセルに色をつける「条件付き書式」です。
これを使えば、「赤字の部門」や「予算を大幅に超過した経費」が、勝手に赤く染まって自己主張してくれるようになります。
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なぜ経理でこのスキルが必要なのか
経理の重要な役割の一つに「異常値(アノマリー)の検知」があります。
ただ帳簿をつけるだけでなく、「あれ?この交際費、いつもより高すぎないか?」とか「売上が急に落ち込んでいるぞ?」といった変化にいち早く気づき、経営陣にアラートを出すことが求められます。
しかし、人間は疲れてくると数字の違いに鈍感になります。
特に「1,000,000」と「10,000,000」のような桁の違いや、プラスとマイナスの見間違いは、深夜残業中には頻発します。
「異常な数字は、色で教える」。
これはヒューマンエラーを防ぐための安全装置であり、上司に報告資料を見せる際の「ここを見てください」という強力なメッセージにもなるのです。
【実践】今回のサンプル成果物
今回は、各支店の売上目標に対する実績をまとめた「予実管理表」を使い、以下の2つの視覚化を行います。
- 目標未達(差異がマイナス)のセルを、赤文字・赤背景で警告する。
- 達成率の大きさを「データバー(棒グラフ)」で視覚的に表現する。
練習用サンプルデータ
以下の表をコピーして、ExcelのA1セルに貼り付けてください。
| 支店名 | 予算 | 実績 | 差異(実-予) | 達成率 |
|---|---|---|---|---|
| 札幌支店 | 5000 | 5200 | 200 | 104% |
| 仙台支店 | 4000 | 3500 | -500 | 88% |
| 東京本社 | 20000 | 21000 | 1000 | 105% |
| 名古屋支店 | 6000 | 5800 | -200 | 97% |
| 大阪支店 | 8000 | 7500 | -500 | 94% |
| 広島支店 | 3000 | 3300 | 300 | 110% |
| 福岡支店 | 4500 | 2000 | -2500 | 44% |
※D列(差異)にはマイナスの数値が含まれています。
※E列(達成率)はパーセント表示にしておくと分かりやすいです(Ctrl + Shift + 5)。
手順解説:クリックだけで設定完了!
条件付き書式は、難しい関数を書く必要はありません。メニューから選ぶだけです。
Step 1. マイナスの数字を赤く染める
まずはD列の「差異」に注目させましょう。予算より実績が少ない(マイナス)の場合、警告色にします。
- 範囲を選択する
D2セルからD8セル(差異の数字が入っている部分)をドラッグして選択します。 - 条件付き書式メニューを開く
「ホーム」タブにある「条件付き書式」ボタンをクリックします。 - ルールを選ぶ
メニューの一番上にある「セルの強調表示ルール」にマウスを合わせ、さらに横に出てくる「指定の値より小さい」をクリックします。 - 条件を設定する
左側のボックスに基準値として「0」を入力します。
右側のボックスで「濃い赤の文字、明るい赤の背景」(デフォルトのままでOK)を選びます。
「OK」ボタンを押します。
これだけで、マイナスの数値が入っているセル(仙台、名古屋、大阪、福岡)が一瞬で赤くなりましたね!
もし数値を修正してプラスになれば、色は自動的に消えます。
Step 2. データバーでグラフ化する
次に、E列の「達成率」を直感的に分かるようにしましょう。
数字だけだと「44%」の深刻さが伝わりにくいですが、グラフにすると一目瞭然です。
- 範囲を選択する
E2セルからE8セル(達成率の部分)を選択します。 - データバーを選ぶ
「ホーム」タブ > 「条件付き書式」 > 「データバー」をクリックします。 - 好きな色を選ぶ
青や緑など、好きな色のバーをクリックします。(経理資料なら、落ち着いた青などが無難です)
セルの中に小さな棒グラフが表示されました!
福岡支店のバーが極端に短いことが、視覚的に飛び込んできますね。
ベテラン経理の「ここだけの話」
条件付き書式は便利すぎて、ついつい楽しくなって使いすぎてしまう機能でもあります。
私が過去に見た失敗例で、「ゲーミング経理資料」と呼んでいるものがあります。
「100以上は黄色」「50以下は青」「マイナスは赤」「0はグレー」……とルールを詰め込みすぎて、表がチカチカして逆に何も頭に入ってこない状態です。
経理の資料作成における鉄則は「色は意味を持って使う」ことです。
- 赤:危険、マイナス、要確認(アラート)
- 青/緑:安全、プラス
これくらいシンプルで十分です。
「上司にどこを見てほしいか?」を考え、本当に注目すべき異常値だけを赤くする。それがプロのセンスです。
印刷時の注意点
もう一点。経理資料は白黒印刷されることが多いです。
「薄い赤の背景」は、白黒コピーすると「薄いグレー」になり、ただ汚れているように見えることがあります。
印刷を前提とする場合は、背景色ではなく「文字色を太字の赤にする」だけにするか、あるいはアイコンセット(↑↓などの矢印を表示する機能)を使うと、白黒でも伝わりやすくなりますよ。
まとめ
第21回では、数字の異常を視覚化する「条件付き書式」を学びました。
- 「セルの強調表示ルール」で、特定の数値(マイナスなど)だけ色を変えられる。
- 「データバー」を使えば、セルの中に棒グラフを表示できる。
- 異常値の発見スピードが上がり、検算漏れを防げる。
- 色は使いすぎず、ここぞというポイントに絞って使うのがコツ。
これで、あなたの作る表は「ただの数字の羅列」から、「意思を持ったレポート」へと進化しました。
次回は、Level 4の最後を飾るテーマ。
数式が壊れるのを防ぎ、データの追加にも自動対応するExcelの便利機能「テーブル」について解説します。Ctrl + T というショートカットが、あなたのデータ管理を劇的に楽にしてくれます。お楽しみに!
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。