第12回:新常識!Excelが新しいならXLOOKUPを使おう。VLOOKUPより圧倒的に便利な理由 [AI]
こんにちは!大手企業の経理担当兼、Excel講師です。
前回、経理の必須スキルとして「VLOOKUP関数」をご紹介しました。
しかし、VLOOKUPを使っていて、こんなイライラを感じたことはありませんか?
- 「えーと、商品名は左から数えて…1、2、3…4列目か」と、指で列を数えるのが面倒。
- マスタの途中に列を挿入したら、列番号がズレて全部エラーになった!
- 「コード」が「商品名」より右側にあると検索できない(左側しか探せない)。
もしあなたの会社のExcelが「Microsoft 365(サブスク版)」や「Excel 2021」以降なら、朗報です。
VLOOKUPの弱点をすべて克服した最強の関数「XLOOKUP(エックス・ルックアップ)」が使えます。
第12回は、これからの経理のスタンダードになるXLOOKUP関数を解説します。
これを覚えると、もうVLOOKUPには戻れなくなるかもしれません。
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なぜ経理でこのスキルが必要なのか
経理の実務データは「生き物」です。
一度作ったマスタや台帳も、後から「この項目の隣に『備考』を追加したい」「『旧コード』の列を挿入したい」といった変更が頻繁に入ります。
VLOOKUP関数は「左から〇列目」という指定をするため、マスタに列が挿入されると、参照先がズレてしまい、間違ったデータを引っ張ってくる(あるいはエラーになる)事故が多発します。
一方、XLOOKUP関数は「この列を探して、この列を返す」とピンポイントで指定するため、間に何列挿入されようが計算式が壊れません。
「壊れにくいファイル」を作ることは、システム管理者だけでなく、経理担当者にとっても重要なスキルなのです。
【実践】今回のサンプル成果物
今回は、商品IDから「商品名」と「単価」を引っ張ってくる見積書作成ツールを作ります。
VLOOKUPとの書き方の違いを体感してください。
練習用サンプルデータ
以下の表をコピーして、ExcelのA1セルに貼り付けてください。
| ID | カテゴリ | 商品名(抽出) | 単価(抽出) | 検索ID | 商品名 | 単価 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A-001 | 文具 | ボールペン | 100 | A-002 | |||
| A-002 | 文具 | 消しゴム | 50 | B-001 | |||
| B-001 | OA機器 | マウス | 1500 | ||||
| B-002 | OA機器 | キーボード | 3000 |
画面構成:
A列~D列が「商品マスタ」です。
F列に検索したいIDが入っており、G列とH列に答えを表示させます。
手順解説:引数は3つだけ!直感的な操作
VLOOKUPは4つの引数が必要でしたが、XLOOKUPの基本はたったの3つです。
=XLOOKUP(①検索値, ②検索範囲, ③戻り範囲)
- ①何を?(検索値)
- ②どこから探す?(検索範囲列)
- ③何を表示する?(戻り範囲列)
Step 1. 商品名を表示させる
G2セル(A-002の商品名)を選択し、入力してみましょう。
=XLOOKUP(と入力します。- ①検索値:
探したいIDが入っている F2セル をクリックし、カンマ,を打ちます。 - ②検索範囲:
IDが載っている列を指定します。
マスタのID列である A2からA5 を選択し、F4キー(絶対参照)を押します。
カンマ,を打ちます。 - ③戻り範囲:
表示させたいデータ(商品名)の列を指定します。
マスタの商品名列である C2からC5 を選択し、F4キー(絶対参照)を押します。 - 括弧を閉じて
)Enterキーを押します。
完成した数式:=XLOOKUP(F2, $A$2:$A$5, $C$2:$C$5)
「消しゴム」と表示されましたか?
「列番号は3番目だから…」と数える必要がないので、直感的で非常にわかりやすいですよね。
Step 2. 単価を表示させる
同様に、H2セルに単価も表示させましょう。
- H2セルに
=XLOOKUP(と入力。 - 検索値は F2 。
- 検索範囲は $A$2:$A$5 (ID列)。
- 戻り範囲は $D$2:$D$5 (単価列)。
完成した数式:=XLOOKUP(F2, $A$2:$A$5, $D$2:$D$5)
これで「50」が表示されます。オートフィルで下の行(B-001)もコピーすれば完成です。
Step 3. 【応用】エラー処理も一緒にやってしまう
VLOOKUPでは、見つからない時に「#N/A」エラーが出るのを防ぐために IFERROR 関数と組み合わせる必要がありました。
XLOOKUPは、なんと4つ目の引数でエラー処理ができます。
数式を以下のように修正してみてください。
=XLOOKUP(F2, $A$2:$A$5, $C$2:$C$5, "該当なし")
4つ目に "該当なし" を追加するだけで、マスタにないIDが入力された時に、自動的に「該当なし」と表示してくれます。
IFERROR関数を書く手間が省ける。これが「新常識」と言われる所以です。
ベテラン経理の「ここだけの話」
「こんなに便利なら、全部XLOOKUPにすればいいじゃないか!」
その通りなのですが、実務では1点だけ注意点があります。
それは「ファイルの共有相手」です。
もし、あなたが作ったファイルを送る相手(取引先やグループ会社)が、古いExcel(Excel 2016や2019の買い切り版など)を使っている場合、XLOOKUPが入ったファイルを開くと「#NAME?」エラーになってしまいます。
「この関数、私のPCには入ってないよ!」となるわけです。
ですので、社内資料(全員Microsoft 365環境)ならXLOOKUP全開でOKですが、社外に送るファイルの場合は、安全のためにあえてVLOOKUPを使うという配慮も、今の過渡期には必要です。
まとめ
第12回では、次世代のスタンダード XLOOKUP関数を学びました。
- 引数は3つだけ。「これ(検索値)を、ここ(検索範囲)で探して、これ(戻り範囲)をちょうだい」。
- 列番号を数えなくていい。列の挿入・削除にも強い。
IFERRORを使わなくても、4つ目の引数で「該当なし」を表示できる。- ただし、古いExcelを使っている相手には注意が必要。
もしあなたの環境で使えるなら、積極的に使って「壊れないExcel」を作ってください。
次回は、VLOOKUP派の人もXLOOKUP派の人も必見。エラー表示「#N/A」をプロらしく処理する「IFERROR関数」の深掘りと、入力規則について解説します。
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。