第10回:「前行の残高+入金ー出金」で作る、ずっと使える小口現金出納帳の作り方 [AI]
こんにちは!大手企業の経理担当兼、Excel講師です。
経理配属された新人が、一番最初に任される仕事。それが「小口現金(こぐちげんきん)管理」です。
社内の金庫番として、切手代を払ったり、交通費を渡したりする業務ですが、夕方の締め作業でこんな冷や汗をかいたことはありませんか?
「……実際の現金が、帳簿より10円足りない」
残高が合わない時の絶望感は、何度味わっても慣れません。
その原因の多くは、お金の渡し間違いではなく、実は「計算間違い(引き算ミス)」だったりします。
第10回のテーマは、Level 2(基礎編)の総決算。「絶対に計算ミスをしない小口現金出納帳」の作り方です。
この「残高計算のロジック」を覚えれば、現金だけでなく、預金口座の管理や在庫管理表など、あらゆる「増減管理」に応用できる一生モノのスキルになります。
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なぜ経理でこのスキルが必要なのか
手書きの出納帳や、電卓を使ったExcel入力では、毎回以下のような計算をしています。
今の残高 = さっきまでの残高 + 入ってきたお金 - 出ていったお金
これを毎回手入力していると、どこか一箇所で打ち間違えた瞬間、それ以降の残高がすべて狂います。
しかも、途中で「あ、昨日の日付で入力し忘れていた!」と思って行を挿入すると、もう収拾がつきません。
Excelで正しい数式を組めば、「入金」と「出金」を入力するだけで、残高は勝手に再計算されます。
行を挿入しても、削除しても、数式をコピーし直すだけで一瞬で正しい残高に戻る。
この「メンテナンスのしやすさ」こそが、実務で使える出納帳の条件です。
【実践】今回のサンプル成果物
今回は、非常にシンプルですが、プロの現場でも使われている構造の「現金出納帳」を作成します。
練習用サンプルデータ
以下の表をコピーして、ExcelのA1セルに貼り付けてください。
※E列の「残高」を計算式で埋めていくのが今回のミッションです。
| 日付 | 摘要 | 入金 | 出金 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 前月繰越 | 50000 | 0 | |
| 4/2 | 切手代購入 | 0 | 840 | |
| 4/5 | タクシー代精算 | 0 | 2500 | |
| 4/10 | 雑費戻入 | 500 | 0 | |
| 4/15 | 文房具代 | 0 | 1200 |
手順解説:「N字の動き」で数式を組む
残高計算のポイントは、「1行目」と「2行目以降」で考え方を変えることです。
Step 1. 最初の残高(スタート地点)を決める
まず、一番上の行(4/1 前月繰越)の残高を決めます。
ここは計算ではなく、スタートの金額を表示させるだけです。
- E2セル(最初の残高)をクリックします。
=C2-D2と入力します。
(入金 50000 - 出金 0 = 50000 となります)- Enterキーを押します。これでスタート地点が決まりました。
※単純に「50000」と手入力しても良いですが、数式にしておくとC2を変えるだけで反映されるのでオススメです。
Step 2. 「魔法の数式」を入れる
ここからが本番です。3行目(4/2)の残高を計算します。
言葉にすると「昨日の残高に、今日の入金を足して、今日の出金を引く」です。
- E3セルをクリックします。
=を入力し、一つ上のセル(E2)をクリックします。
(昨日の残高 50000 を参照)+を入力し、左隣の入金セル(C3)をクリックします。
(今日の入金 0 を足す)-を入力し、さらに隣の出金セル(D3)をクリックします。
(今日の出金 840 を引く)- 数式は
=E2+C3-D3となります。 - Enterキーを押します。答えは「49160」になります。
このセルの位置関係を見てください。
「右上」を見て、「左」を見て、「左」を見る。
視線がジグザグに動くこの形を覚えてください。
Step 3. オートフィルで完成させる
あとはこの「魔法の数式」を下までコピーするだけです。
- 今数式を入れたE3セルを選択します。
- セルの右下のフィルハンドルをダブルクリック(または下までドラッグ)します。
- すべての行に残高が入りました!
確認してみましょう:
一番下の行(4/15)の残高は「45960」になっていますか?
なっていれば大正解です!
ベテラン経理の「ここだけの話」
この表を作った後に、よく起こるトラブルがあります。
それは「マイナス残高」です。
もし入力ミスで、残高が「500円」しかないのに「1000円」出金したことにしてしまったら?
Excel上の残高は「-500」になります。
しかし、現実の金庫の中身がマイナスになることなんてあり得ませんよね(ドラえもんの道具でもない限り!)。
残高がマイナスになっているということは、間違いなく「入力ミス」か「日付の順番間違い」が起きている証拠です。
プロの経理は、残高列に「条件付き書式」を設定して、「0より小さい場合は文字を赤く太字にする」という仕掛けをしておきます。
こうすれば、入力した瞬間に「あっ、赤くなった!ミスった!」と気づけるわけです。
(条件付き書式の詳しい使い方は、Level 4の「異常値の発見」で詳しく解説します。お楽しみに!)
まとめ
第10回では、経理の基本「残高計算」をマスターしました。
- 残高計算の基本は「前行残高 + 入金 - 出金」。
- 1行目だけはスタート地点なので計算式が違う。
- 2行目に数式を作って、あとは下までオートフィル。
- この仕組みなら、行を挿入しても数式コピーですぐ直せる。
これでLevel 2(基礎編)は修了です!お疲れ様でした。
四則演算、合計、絶対参照、端数処理、そして残高計算。
これだけできれば、もう「電卓片手におっかなびっくりExcelを触る人」ではありません。
次回からは、いよいよLevel 3(中級編)に突入します。
ここからは「VLOOKUP関数」や「IF関数」など、Excelが自動で考え、判断し、転記してくれる「自動化の世界」です。
実務の効率が劇的に変わるフェーズですので、ぜひ楽しみにしていてください!
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。