第9回:消費税の「1円のズレ」を許さない。ROUND関数で端数処理を完璧にする [AI]
こんにちは!大手企業の経理担当兼、Excel講師です。
経理の現場で、最も神経を使う瞬間の一つ。それは「消費税の計算」です。
「請求書の合計金額が、なぜか1円合わない!」
「検算すると、どうしても1円ズレてしまう…」
たかが1円、されど1円。経理の世界では、この1円が合わない限り、決算を締めることも、お客様に請求書を送ることもできません。
そして、この「謎の1円ズレ」の原因のほとんどは、Excelの「見えない端数」にあります。
第9回のテーマは、この端数問題を完全に解決する「ROUND関数(四捨五入・切り捨て・切り上げ)」です。
これをマスターすれば、月末に残業して1円を探し回る悲劇から解放されます。
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なぜ経理でこのスキルが必要なのか
Excelで 1000 * 0.1 を計算すると 100 になります。これは問題ありません。
しかし、985 * 0.1 を計算するとどうなるでしょうか?
答えは 98.5 です。
日本の通貨に「50銭(0.5円)」硬貨は流通していませんから、請求書などの実務では、この端数を「切り捨てる」か「四捨五入する」かして、整数にする必要があります。
ここで初心者が陥る最大の罠があります。
それは、「見た目だけを整数にして満足してしまうこと」です。
Excelの「表示形式」ボタンで小数を消して「99」と表示させても、セルの中身は「98.5」のまま生きています。
この「隠れ小数」がたくさん集まると、合計した時に「0.5 + 0.5 = 1」となり、突然「謎の1円」が湧いて出てくるのです。
経理のプロは、見た目だけでなく「データそのものを整数にする」処理を行います。そのための道具がROUND関数なのです。
【実践】今回のサンプル成果物
今回は、消費税計算でよくある「端数処理」の実験を行います。
「表示形式で隠すだけ」の場合と、「関数で処理する」場合で、結果がどう変わるか体験してみましょう。
練習用サンプルデータ
以下の表をコピーして、ExcelのA1セルに貼り付けてください。
| 商品名 | 税抜価格 | 税額(10%) | 端数処理なし | 切り捨て(ROUNDDOWN) |
|---|---|---|---|---|
| 商品A | 985 | |||
| 商品B | 155 | |||
| 商品C | 425 | |||
| 合計 | – |
手順解説:3つのROUND兄弟を使い分ける
経理実務では、契約によって「切り捨て」「四捨五入」「切り上げ」が決まっています。
それぞれの関数を覚えておきましょう。
- 切り捨て(一番多い):
ROUNDDOWN - 四捨五入(一般的):
ROUND - 切り上げ(稀にある):
ROUNDUP
1. 「隠れ端数」の恐怖を体験する
まずは、関数を使わずに計算してみましょう。
- C2セルに
=B2*0.1と入力します。(985 × 10% = 98.5) - C2セルからC4セルまでオートフィルでコピーします。
(98.5, 15.5, 42.5 という数字が並びます) - D列に値をコピーします。C2:C4をコピーして、D2に貼り付けます。
- D2:D4を選択し、ホームタブの「小数点以下の表示桁数を減らす」ボタンを押して、見た目を整数にします。
(99, 16, 43 と表示されます。一見、正しそうに見えます) - D5セル(合計欄)で
=SUM(D2:D4)を計算してください。
合計結果は「157」になります。
ここで電卓を叩いてみてください。
表示されている数字「99 + 16 + 43」を足すと、答えは「158」になるはずです。
「画面上の合計は158のはずなのに、Excelの合計は157になっている」。
これが、1円ズレの正体です。Excelは裏側の「98.5 + 15.5 + 42.5 = 156.5 → 四捨五入して157」を計算してしまったのです。
2. ROUNDDOWN関数で「本物の整数」にする
では、E列で正しく処理しましょう。
今回は一般的な「円未満切り捨て」を行います。
- E2セルをクリックし、
=ROUNDDOWN(と入力します。 - 計算したい数値(または計算式)を指定します。
ここではB2*0.1と入力します。 - カンマ
,を打ちます。 - 「桁数」を指定します。ここがポイントです。
整数にしたい(小数点をなくしたい)場合は、「0」を指定します。 - 括弧を閉じてEnterを押します。
完成した数式:=ROUNDDOWN(B2*0.1, 0)
結果は「98」になります。
これを下までコピーして、E5セルでSUM合計を出してみてください。
- 商品A:98
- 商品B:15
- 商品C:42
- 合計:155
電卓で「98 + 15 + 42」を計算しても「155」。
Excelの計算結果と完全に一致しました! これで1円ズレは発生しません。
3. 桁数の指定ルール
ROUND系関数の第2引数(桁数)は、以下のように使い分けます。
- 0 : 整数にする(円未満を処理) ※経理では99%これを使います
- 1 : 小数第2位を処理して、第1位まで残す
- -1 : 1の位を処理して、10の位までにする(例:198円 → 200円)
- -3 : 千円単位にする(決算書などで使用)
ベテラン経理の「ここだけの話」
「じゃあ、消費税の計算には毎回ROUNDDOWNを入れればいいんですね?」
基本的にはYESです。
ただし、実務では「どのタイミングで端数処理をするか」という取り決めが重要です。
- 明細行ごとに切り捨てるのか?(今回やった方法)
- 明細の合計を出してから、最後に一回だけ切り捨てるのか?
インボイス制度などの兼ね合いもありますが、この2つでは計算結果が変わることがあります。
大切なのは、取引先からの請求書を受け取った時に「相手がどういう計算ロジックを使っているか」を検算で見抜くことです。
もし相手の請求書と1円合わないときは、Excel上で ROUND(四捨五入)に変えてみたり、ROUNDDOWN(切り捨て)に変えてみたりして、相手の計算方法を特定する。これも経理担当者の隠れた特技の一つです。
まとめ
第9回では、経理の大敵「端数処理」を完全攻略しました。
- 「表示形式」で小数を隠しても、計算結果はズレる。
- 計算結果を確定させるには ROUND関数 を使う。
- 切り捨てなら
ROUNDDOWN(計算式, 0)が基本形。 - 四捨五入なら
ROUND、切り上げならROUNDUP。
「見た目」ではなく「中身」をコントロールする。
これができるようになれば、あなたの作る資料は、誰が検算してもピタリと合う「信頼性の高い資料」になります。
※本ブログはこの一文以外は、AIによる記載です。内容にウソが含まれている可能性がありますので、ご注意ください。写真もAIで作成しています。