第6回:電卓を捨てよう。Excelで足し算・引き算・掛け算・割り算を正しく行う基本ルール [AI]

こんにちは!大手企業の経理担当兼、Excel講師です。

Level 1(入力・表示形式編)をクリアした皆さん、おめでとうございます。
いよいよ今回からLevel 2(計算・基礎編)に突入します。ここからのテーマはズバリ、「お金の計算」です。

突然ですが、あなたはデスクでこんな作業をしていませんか?

  1. Excelの画面を見る。
  2. 手元の「電卓」を叩いて計算する。
  3. 出た答えをキーボードでExcelに入力する。

もしこれをやっているなら、今すぐその電卓を机の引き出しの奥深くにしまってください。
Excelは「表計算ソフト」です。計算こそが本業であり、電卓の何倍も優秀なパートナーなのです。

第6回は、経理の基本中の基本、「四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)」をExcelで正しく行う方法を解説します。
「えっ、そんなの簡単でしょ?」と思った方こそ要注意。プロは「数字」を直接入力しません。「セル」という箱を使って計算します。


経理Excel:なぜ経理でこのスキルが必要なのか

「電卓で計算して入力しても、結果が合っていればいいじゃないか」と思いますか?
経理の実務では、それは後で爆発する「時限爆弾」になります。

例えば、あなたが電卓で計算して「売上 10,000円」と手入力したとします。
翌日、上司から「ごめん、単価が10円変わったから直しておいて」と言われました。

  • 電卓派の人(地獄):
    また電卓を取り出し、再計算して、数字を打ち直さなければなりません。焦って打ち間違いをするリスクも発生します。
  • Excel計算派の人(天国):
    単価のセルを修正するだけ。売上金額はExcelが勝手に再計算してくれます。所要時間1秒。ミスゼロ。

経理データは頻繁に修正が入ります。
「再計算を人間にさせない」仕組みを作ることが、正確性とスピードを両立する唯一の方法なのです。

※参考:Microsoftサポート:Excel の数式の概要


【実践】今回のサンプル成果物

今回は、四則演算すべてを使う「商品売上計算表」を作成して練習しましょう。

  • 掛け算: 単価 × 数量 = 金額
  • 引き算: 金額 - 値引き = 売上
  • 足し算: 売上 + 消費税 = 税込合計
  • 割り算: 売上 ÷ 数量 = 実質単価(検算用)

練習用サンプルデータ

以下の表をコピーして、ExcelのA1セルに貼り付けてください。
※2行目以降の「金額」や「売上」などが空欄になっています。ここを計算式で埋めていきます。

商品名単価数量金額(掛)値引き売上(引)消費税(10%)税込合計(足)実質単価(割)
商品A10005500
商品B250030

手順解説:記号を覚えて計算式を作る

Excelで計算式を入れる時の絶対のルールは、「半角」で「=(イコール)」から始めることです。
「ここから計算が始まりますよ!」という合図だと覚えてください。

1. 掛け算(アスタリスク *)

まずは「単価 × 数量」です。Excelでは「×」ではなく「*(アスタリスク)」を使います。
キーボードの右側にあるテンキーの「9」の上にあります。

  1. D2セル(商品Aの金額の欄)をクリックします。
  2. キーボードで = を入力します。
  3. マウスで B2セル(単価の1000)をクリックします。(画面に =B2 と出ます)
  4. キーボードで * を入力します。
  5. マウスで C2セル(数量の5)をクリックします。(画面に =B2*C2 と出ます)
  6. Enter キーを押します。

答えの「5000」が表示されましたか?

2. 引き算(マイナス -)

次は「金額 - 値引き」です。これは普通の算数と同じ「-(マイナス)」です。

  1. F2セルをクリックします。
  2. = を入力します。
  3. D2セル(さっき計算した5000)をクリックします。
  4. - を入力します。
  5. E2セル(値引きの500)をクリックします。
  6. Enter キーを押します。答えは「4500」になります。

3. 足し算(プラス +)と演算子の優先順位

ここで重要な「算数のルール」を思い出しましょう。
Excelでも「掛け算・割り算は、足し算・引き算より先に計算される」というルールがあります。

まずG2セルで消費税(10%)を計算します。

  • 数式: =F2*0.1 (売上 × 0.1)
  • 答え: 450

次にH2セルで税込合計を出します。記号は「+(プラス)」です。

  • 数式: =F2+G2 (売上 + 消費税)
  • 答え: 4950

【重要】もし1つのセルで計算するなら?

もし、消費税のセルを分けずに、いきなり税込金額を出したい場合はどうなるでしょう?

  • 間違い: =F2+F2*0.1 (これでも正解ですが、少し分かりにくい)
  • プロの技: =F2*1.1 (売上の1.1倍)

計算式が長くなる時は、算数と同じように ( ) カッコを使って優先順位をコントロールできます。
例: =(A1+B1)*C1 → 足し算をしてから掛け算をする。

※参考:Microsoftサポート:Excel の計算演算子と優先順位

4. 割り算(スラッシュ /)とエラーの対処

最後に、値引き後の実質的な単価を計算してみましょう。記号は「÷」ではなく「/(スラッシュ)」を使います。

  1. I2セルをクリックします。
  2. =F2セル(売上4500) → /C2セル(数量5) の順に入力。
  3. 数式は =F2/C2 となります。
  4. Enter キーを押すと、答えは「900」になります。

【注意】「#DIV/0!」ってなに?

もし数量が「0」だったり、空欄だったりすると、Excelは「#DIV/0!」というエラーを表示します。
これは「Division by Zero(ゼロ除算)」、つまり「0で割ることはできません!」というExcelからの悲鳴です。
このエラーが出たら、割る数(分母)が正しく入力されているか確認しましょう。

※参考:Microsoftサポート:エラー値 #DIV/0! を修正する方法


ベテラン経理の「ここだけの話」

最後に、計算式をチェックする時のプロの技を伝授します。

「F2キー」で計算の中身が見える

他人が作ったExcelファイルを見る時、どこが計算式で、どこが手入力か分かりにくいですよね。
そんな時は、数式の入っているセルを選んで、キーボードの「F2」キーを押してみてください。

すると、=B2*C2 のように数式が表示されるだけでなく、参照されているセルが「青」や「赤」でカラー表示されます。
「あ、このセルとこのセルを掛けているんだな」と視覚的に一瞬で分かります。

  • 新人: 数式バーを睨みつけて確認する。
  • プロ: 「F2」キーを連打して、セルを巡回しながらチェックする。

このF2キーの習慣をつけるだけで、検算スピードは3倍になりますよ。


まとめ

今回は、Excel計算の「基本のキ」である四則演算を学びました。

  1. 計算式は必ず = から始める。
  2. 記号を覚える: 掛け算は * 、割り算は /
  3. 数字を直接入力せず、「セル参照」で計算する(これが最重要!)。
  4. F2キーを使えば、どのセルを計算しているか一発で分かる。

これで元の数字が変わっても、自動で再計算される「生きた表」になります。
電卓は検算(チェック)用にとっておいて、作成作業はすべてExcelに任せてしまいましょう。
この習慣がつくと、仕事のスピードは劇的に上がりますよ!

次回は、いよいよExcelの真骨頂、「関数(SUM関数)」について解説します。お楽しみに!

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