これは、FreeCADバージョン1.0.2を使用して、3Dモデリングの基礎を学ぶためのハンズオンガイドです。 初心者の方が躓きやすいポイントを先回りして解説しています。記事を読みながら手を動かせば、必ず完成します。 --- # 【完全初心者向け】FreeCAD 1.0.2で作る「スマホスタンド」制作ガイド ようこそ、3Dモデリングの世界へ! このガイドでは、以下のシンプルな「スマホスタンド」を作成しながら、FreeCADの基本操作をマスターします。 * **完成イメージ**: L字型のシンプルなスタンド。充電ケーブルを通す穴があり、角は手触り良く丸められています。 * **所要時間**: 約30分 > **💡 心構え** > 1.0版になり操作性が向上しましたが、もし画面が赤くなったりエラーが出ても**焦らなくて大丈夫**です。「戻る(Ctrl+Z)」を押せば、いつでもやり直せます。 --- ## 1. 準備:プロジェクトのセットアップ まずは作業するための「机」と「紙」を用意する手順です。 1. **FreeCADを起動**します。 2. スタートページの「**新規作成**」ボタンをクリックします(またはショートカット **[Ctrl] + [N]**)。 3. 画面上部にあるワークベンチ(作業台)の切り替えメニュー(デフォルトでは[Start]になっている場所)をクリックし、**「Part Design」**を選択します。 * *アイコン: 青い歯車のような部品のマーク* 4. 左側のコンボビュー(タスクパネル)にある**「ボディーを作成」**をクリックします。 * *アイコン: 青いブロックのマーク* 5. 続けて、**「スケッチを作成」**をクリックします。 * *アイコン: 白い紙に赤い丸と四角が描かれたマーク* 6. 画面中央に平面のイラストが表示されます。一覧から**「XZ_Plane(X-Z 平面)」**を選択し、パネルの**[OK]**をクリックします。 * *理由: スマホスタンドを「横から見た図」として描くため、正面に立つ壁のようなXZ平面が最適です。* `![画像指示: XZ平面を選択している画面のスクリーンショット]` --- ## 2. スケッチ:側面図(断面)を描く スマホスタンドを真横から見たときの「厚みのあるL字(くの字)」を描きます。 ### 2-1. 形をラフに描く(ポリライン) 1. ツールバーにある**「ポリライン」**ツールをクリックします。 * *アイコン: 折れ線グラフのような、点と線で繋がれたマーク* 2. **原点(画面中央の赤い点)**をクリックしてスタートします。 3. 以下の順序でクリックし、大まかな形を描きます。 1. 真上へ伸ばしてクリック(背もたれの内側) 2. 右下へ斜めに下ろしてクリック(背もたれの外側) 3. 真下へ下ろしてクリック(底面の外側) 4. 左へ戻ってクリック(底面の内側) 5. **原点**をクリックして図形を閉じます。 4. 図形が閉じるとツールが終了しますが、マウスカーソルにアイコンが残っている場合は、**右クリック**を一回してツールを解除します。 > **⚠️ 注意** > 線を描くとき、カーソルの近くに「ー(水平)」や「|(垂直)」の小さなマークが出ることがあります。これは「自動拘束」です。できるだけ垂直・水平に合わせて描くと後が楽です。 `![画像指示: ポリラインで「太ったL字」のような閉じた図形を描いた直後の画面]` ### 2-2. 形を整える(幾何拘束) 線が斜めになってしまっている部分を、真っ直ぐに修正します。 1. 垂直にしたい線(背もたれの線など)が斜めになっている場合、その線をクリックして選択します。 2. ツールバーの**「垂直拘束」**をクリックします(ショートカット **[V]**)。 * *アイコン: 縦棒(|)のマーク* 3. 水平にしたい線(底面の線など)を選択し、**「水平拘束」**をクリックします(ショートカット **[H]**)。 * *アイコン: 横棒(ー)のマーク* ### 2-3. サイズを決める(寸法拘束) ここから具体的な数値を入れます。FreeCAD 1.0では「寸法ツール」が賢くなり、一つのツールで長さも角度も測れます。 1. ツールバーの**「寸法」**ツールをクリックします。 * *アイコン: 定規のようなマーク、または寸法の矢印* 2. **【高さの設定】**: 一番高い縦の線をクリックし、数値を **80mm** と入力してEnterキーを押します。 3. **【奥行きの設定】**: 一番底の横線をクリックし、数値を **80mm** と入力します。 4. **【厚みの設定】**: 平行な2本の線(背もたれの内側と外側など)を順番にクリックします。距離の入力欄が出るので、**5mm** と入力します。底面の厚みも同様に **5mm** に設定します。 5. **【角度の設定】**: 背もたれの線と、底面の線(またはZ軸と背もたれ)をクリックします。角度入力になるので、**60度**(または状況に合わせて適切な角度)を入力して、スタンドが少し後ろに倒れるように調整します。 > **✅ チェックポイント** > すべての寸法が決まると、スケッチの線が「黄緑色」に変わります。これを「完全拘束」と呼びます。これが理想の状態です! `![画像指示: 寸法線が入り、線がすべて黄緑色になったスケッチ画面]` 6. 左側のタスクパネルにある**[閉じる]**ボタンをクリックしてスケッチを終了します。 --- ## 3. 立体化:押し出し(Pad) 描いた図形に幅を持たせて、立体にします。 1. モデルの向きが見やすいように、画面右上のサイコロ(View Cube)の角をクリックするか、マウスホイールを押し込みながら動かして視点を斜めにします。 2. 先ほどのスケッチが選択された状態で、ツールバーの**「パッド(押し出し)」**をクリックします。 * *アイコン: 黄色いブロックに影がついたマーク* 3. タスクパネルの設定を以下のように変更します。 * タイプ: **「対称(Symmetric to plane)」** * *理由: これを選ぶと、原点を中心に両側に広がります。後で中心に穴を開ける時に非常に楽になります。* * 長さ: **60mm** 4. **[OK]**をクリックします。 これで、スマホスタンドの原型(豆腐のようなL字ブロック)ができました! `![画像指示: パッドで立体化されたL字型オブジェクト]` --- ## 4. 加工:ケーブル穴を開ける(Pocket) 背もたれの部分に、充電ケーブルを通すための穴を開けます。 1. 画面を操作して、スタンドの**「背もたれの面(スマホを置く面)」**が見えるようにします。 2. その面をワンクリックして選択(明るい緑色になります)します。 3. **「スケッチを作成」**をクリックします。 ### 4-1. 穴の形を描く 1. 今回は長方形の両端が丸い「スロット」を使います。ツールバーのスケッチ作成ツール群から**「スロット(長円)」**を探してクリックします。 * *アイコン: 陸上トラックのような楕円形* 2. スケッチ上の適当な場所で、2点をクリックして横長のカプセル型を描きます。 ### 4-2. ど真ん中に配置する(対称拘束) ここが少しテクニカルですが、頑張りましょう。穴を左右のど真ん中に配置します。 1. スロットの「左の円の中心点」をクリックします。 2. [Ctrl]キーを押しながら、「右の円の中心点」をクリックします。 3. [Ctrl]キーを押したまま、画面中央を縦に走る**「Y軸(緑色の線)」**をクリックします。 4. 3つが選ばれた状態で、ツールバーの**「対称拘束」**をクリックします(ショートカット **[S]**)。 * *アイコン: >< のような、左右対称を示す矢印* * *結果: 穴がピタッと中心に揃います。* ### 4-3. サイズと位置を決める 1. **「寸法」**ツールを使います。 2. スロットの上の線と下の線をクリックして幅(高さ)を **15mm** に設定。 3. 左右の円の中心点同士をクリックして長さ(幅)を **30mm** に設定。 4. スロットの中心点(または下の線)と、スタンドの下端(X軸)の距離を測り、**20mm** 程度に設定して位置を固定します。 5. **[閉じる]**をクリックしてスケッチを抜けます。 ### 4-4. 穴を開ける 1. ツールバーの**「ポケット」**をクリックします。 * *アイコン: 赤い四角いくぼみのマーク* 2. タスクパネルのタイプを**「すべて貫通(Through all)」**に変更します。 3. **[OK]**をクリックします。 `![画像指示: 背面にきれいな長円形の穴が開いた状態]` --- ## 5. 仕上げ:フィレットで角を丸める 角が尖っていると痛いので、丸く加工(フィレット)します。 1. ツールバーの**「フィレット」**をクリックします。 * *アイコン: 角が青く丸められた箱のマーク* 2. 丸めたいエッジ(辺)を選択していきます。 * **ヒント**: 画面を回転させながら、スマホが当たる「手前の角」や「上の角」の線を、**[Ctrl]キーを押しながら**クリックしていくと、まとめて選択できます。 3. タスクパネルの「半径」に **2mm** と入力します。 * *スマホが触れる部分は大きめに丸めると優しい印象になります。* 4. 一度**[OK]**を押して確定します。 5. (任意)その他の角も丸めたい場合は、再度フィレットツールを選び、半径 **1mm** 程度で適用します。 `![画像指示: 全体の角が丸まり、完成したスマホスタンド]` --- ## 6. 保存とエクスポート お疲れ様でした!これで完成です。最後にデータを保存しましょう。 ### プロジェクトの保存 1. メニューの「ファイル」→**「保存」**(または **[Ctrl] + [S]**)。 2. 好きな名前(例: `MyPhoneStand`)をつけて保存します。これは後で編集できるFreeCAD形式です。 ### 3Dプリンター用ファイル(STL)の書き出し 1. 画面左側のツリービュー(モデル一覧)で、一番最後の工程(例:**Fillet** または **Body**)をクリックして選択状態にします。 * **⚠️重要**: 何も選択せずにエクスポートすると、空のファイルになることがあります。必ず「Body」を選択してください。 2. メニューの「ファイル」→**「エクスポート」**を選択します。 3. ファイルの種類から**「STL Mesh (*.stl *.ast)」**を選択します。 4. 保存をクリックします。 --- これで、あなただけのスマホスタンドデータの完成です! このチュートリアルで、**「スケッチ → 押し出し → 面を選んでスケッチ → ポケット → 仕上げ」**という、3Dモデリングの黄金パターンを体験しました。これを応用すれば、ペン立てもケースも作れるようになります。 ぜひ、寸法を変えて自分好みのスタンド作りに再挑戦してみてください!